空色の明日
DiaryINDEXpastwill


2018年09月17日(月) 強い暮らし

大好きな「みをつくし料理帖」シリーズの
特別巻「花だより」が発売されました。
やっぱりセリフも言葉選びもストーリーの優しさも
大好きすぎて読み進めるのが勿体ない気持ちでいっぱい。
高田郁さんの他の作品も読んだけれどやっぱり
このシリーズが一番好きです。

高田さんは私が通勤で利用する電車の沿線にお住まいで
電車の中で自分の本を読んでいる人を見かけると
嬉しい気持ちになるとおっしゃってました。
私は本にカバーをかけて読むので
もし電車で向かいの席に座られてもわからないでしょうが
こんな素敵な作品を書いてくださったことに
感謝したい気持ちでいっぱいです。



この前の北海道の地震で停電、それによる断水が
広域でありましたが、こういう時
高層マンションに暮らしているとエレベーターが使えないので
給水所から水を家に持って上がることもできないという
問題がおこるのですが、中高生がSNSで
自分たちでボランティアを企画し高層階に住む高齢者に
水を運んだとネットニュースで読みました。
はじめはそのマンションに暮らす子が呼びかけ
友達が参加し、だんだん人数が増えたそうです。
こんな呼びかけをできる人も素敵だし
実行できた参加者たちもほんとに素敵。
給水車から水を運んで階段をせっせと上って
「水が必要な人はいませんか?」と
大きな声で呼びかけたそうです。何度も何度も。
なんて気持ちのいい話でしょう。

神戸や大阪にもどんどんタワーマンションが建ちます。
阪神淡路大震災を経験した人たちは
「絶対住みたくない」と言います。
けれどもうあの断水や停電や恐ろしい揺れを
体験していない世代が買うのか、よそから来た人が買うのか
今でもタワーマンションは売れています。

給水ボランティアをした北海道の子供たちは
将来どんなところに住むのでしょう。

人手が足りないことをロボットや電気のシステムで
補っていこうとする今の時代。
けれど電気が止まればこうして子供たちの足が
何よりも頼りになったわけです。

私は古い我が家のリフォームをする際
電動○○というものを極力使わないようオーダーします。
電動雨戸とか電動のドアとか。
電気が止まったら雨戸も開けられないなんて
ほんとに馬鹿げてる。
なるだけどんな時でもあまり慌てずに暮らせるように
それが私の暮らしの基本となる考え方です。

その根源はおそらく戦後、何もない状態で
満州から帰国した祖母の暮らし方がお手本かもしれません。
何が起こってもなんとかできる暮らし方。
それは存在の危ういものに依存せず
形あるものだけを信じ、身の回りのものでなんとかする暮らし。
震災の後でも何も変わらず毎日を過ごしていた祖母の暮らしは
なんてシンプルで不変的な行動の繰り返しであったかと
思い知らされました。
そして、その暮らし方の強さに憧れました。

あの北海道の子供たちもそんな強い暮らし方が
出来る大人になっていくのではないかと
少しだけ期待します。


安藤みかげ