空色の明日
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2018年08月26日(日) 針仕事

ずっとお気に入りで20年近く夏になると着ているシャツがある。
着れば着るほど味が出るみたいなアロハ的なやつ。

ついに襟が擦り切れてきてしまった。

お裁縫が全く苦手なズボラ人間の私。
大抵の服はダメになったら古布としてお掃除に使うくらいしか
能のない使い方をしていますが、時々
「どうしてもこれはまだ着続けたい」くらい
気に入って何十年も着ている服が結構ある。

実は以前はおばあちゃんという強い味方がいた。
おばあちゃんは子供のころから裁縫が大好きで
戦後の大変な時期も針と糸でなんとか食いつないで
老後も趣味としてずっと着物を服にリメイクしていた人。

私が「これなんとかならない?」と持っていくと
「ちょっと預かるね」と言って
何日かすると見事に蘇らせてくれていた。

残念ながらその祖母も他界してしまった。
こうなったら自分で何とかするしかない。
前にシャツがこうなった時に
襟を裏表ひっくり返して付け直してくれたっけ。

丁寧に縫い目をほどく。
我が家にはミシンがないので細かい細かい目で縫っていく。
時間の流れが急にゆっくりになるのを感じる。

そういえば家でこういうことを時間をかけてじっくりしたのって
手術後の自宅療養以来だな。
もう2年以上、バタバタと駆け足で大雑把な生活がまたぶり返してきてる。

反省してこの頃サボっていたお掃除や庭の草取りをする。
暑さにかまけてすっかり散らかった家の中。

秋になって気候が良くなったら良くなったで
また出かけてばかりになるのだ。

おばあちゃんが日当たりのいい部屋で
いつもゆっくりゆっくり針仕事を楽しそうにしていた横で
その時間の流れを楽しむようにゴロゴロとしていた
子供の頃を思い出す。

あれでいいんだ。
何もかもやりすぎようとするなと
夏休みの終わりに教えられたような気持になる。


安藤みかげ