空色の明日
DiaryINDEXpastwill


2013年08月30日(金) 残したい風景

自分が生きている上で
なにか自信を持って人に言えることがあると
きっと人は上を向いて歩ける。

私にとって自信を持って言えることの一つに
「自分の故郷の風景」がある。

私の育った塩屋という町は
細い路地が入り組んで海と山の隙間に
家がひしめいている小さな町だけど
その海と山の景色を好んで
戦前、大勢の外国人が暮らしていた。
それでたくさんの洋館があったのだけど
バブル期あたりからそれがどんどん取り壊され
マンションになったり宅地になったり
とにかく大好きだった風景が
どんどん変わっていってしまった。

そんな中、また一つ洋館が取り壊されることになり
それを町の人たちでなんとか保存しようじゃないか
という運動が始まった。
それが「旧ジョネス邸を次世代に引き継ぐ会」。
http://jones-shioya.tumblr.com/

今はもう別の町に住んで長くなる私だけど
震災であちこちの風景ががらりと変わってしまった
あの悲しみをしっているからこそ
自分が愛した風景が今もそこにあることの大切さは
とても強く心にあって、
それはきっと他の人たちも同じだから
こんな運動がおこったのだろうなとも思う。
残せるものがいま、まだあるのなら
それが自分の愛する風景なら
これはやっぱり何かしたい。

私たちには次世代(子供)がいないから
普段は「残す」ということを極力しない方向で
物事を選択している。
できればすべてを片付けて身一つで死ねたらいいのにとさえ思う。
でないと甥や姪の手を煩わすことになる。

そんなことばかり考えていたときに
ふいに耳に入ってきたこの話。
「残す」「残したい」ということって
こんなにも自分本位でいいんだと思った。
ただ好きだから「残ってほしい」ただそれだけ。
そのために自分も協力できれば。


安藤みかげ