紫
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「どこかに、写ってないかな。どっかにおらんやろか」
そう言って、ポジフィルムを食い入るように眺めていた女の子。
彼女の送別会の写真です。
アメリカに留学する彼女の送別会に集まった数十人で撮った集合写真。
翌日できあがってきたその写真を見て、彼女は言いました。
「どこかにいるはずや」
彼女が探していたのは、彼女のために集まった数十人の面々の誰かの顔ではなく、彼女の「師匠」であった「彼」の姿でした。
「どこかにいる。ぜったい、いる!」
血眼(ちまなこ)になって1枚の写真のすみずみまで探し続ける彼女の姿が、むしょうに切なくて、思わず私もいっしょに探していました。
「どこかにぜったい、写っているはず……」
きょう、いきなりそのときの写真が出てきました。
あのときの歌と集まった仲間たちを懐かしく思うと同時に、いまだに「どこかにいる」というあのときの彼女の言葉のとおりに「彼」を探している自分がいました。
あまり長くその写真を見つめていることができず、それでもふと思いました。
あのとき、彼女は「彼」の姿をどこかに見つけたんじゃないのかな。
それは、今はもうアメリカ国籍になっている彼女にたずねてみないと、わかりません。
おやすみ。
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