紫
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「ハンバーグちょうだい。エビフライと交換しよー」
中学校1年生になって、初めてのお弁当の時間。
同じ小学校だった友といっしょにお弁当を食べることになりました。
同じ小学校だったとはいえ、クラスが違ったため、ほとんど会話をしたことがなく、当時、かなりの人見知りだった私は、なかなかうまく会話を進めることができず、黙ったまま、むしゃむしゃとお弁当を食べ始めました。
ふいに友が、私のお弁当箱をのぞいて、ハンバーグとエビフライを交換しようなどという案を出してきました。
今でこそ、海老は好物のひとつになっていますが、子どものころは海老は私のなかでは「気持ちが悪い生き物」で食べず嫌いだったこと、それからハンバーグは私のお弁当箱の王様だったこと、などの理由から、友の提案は迷惑はなはだしい!っていう感じでした。
でも、人見知りが激しく、あまり率直にモノが言えなかった私。
「好き嫌いがある」なんて言うのも恥ずかしいし、しかも、人のお弁当箱に入っている食べ物を「気持ちが悪い」なんていえません。
「え、海老って、ほら、ほ、骨があるから苦手なんっ! 昔、歯に詰まって……」
「ほね?!」
そのときの友のきょとんとした顔が今も忘れられません。
それから6年後。
バイトで初めて「海老」のさばき方を教えてもらったときに、海老には骨がない、ってことを知りました。
海老を食べると、必ず思い出す友のあの顔。
彼女は私の妙な言い訳を、覚えているのでしょうか。
おやすみ。
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