紫
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祖母と暮らし始めて初めての夏。
仏壇をきれいにしている祖母の姿がありました。
そのときは、掃除をしているだけだと思っていましたが、その数日後。
部活から帰ると、お坊さんが仏壇に向かって、お経をあげていました。
「あ…」
という私に祖母は手招きで、
(ここに座りなさい)
と言いました。
祖母の隣に座って、お坊さんのお経を聞きました。
祖母は暗唱していました。
私が14歳のときに亡くなった祖父は、こうして毎年、この時期に、ここに帰ってきているんだ、ということを、その日、初めて知りました。
それから、そのお坊さんは、祖母のつくるそうめんを食べ、そして少し田舎の話をし、祖父の子どものころの話をして、帰りました。
そのお坊さんは、祖父の幼少期からの親友で、祖父が亡くなる前に、祖父に「亡くなってからの地位」を与えてくれたそうです。
死んでからも「地位」があるのか…と、祖父のお葬式に思いました。
その地位のおかげで、葬儀屋さんの応対も、お坊さんの袈裟の色もずいぶんと違ったようです。
死んでからも「地位」があるのか…と、そのときはなんともムショウにやりきれない思いがしたのを覚えています。
それでも、あとで、よくよく話しを聴くと、その「地位」は、祖父の友の贈り物だったことを知りました。
プレゼント。
自分にしかできないプレゼント。
そのプレゼントを贈ってくれたお坊さんが、数年前に亡くなりました。
それと、ほぼ時期を同じくして、祖母の痴呆が、ひどくなりました。
それ以来、母が仏壇の周辺のいろいろをしています。
祖母といっしょに住んだ数年のあいだに、いろんなことを吸収しておけばよかったな、と思います。
中途半端に、おやすみ。
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