紫
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高校のころ、制服が好きでした。
コバルトブルーのブレザーにエンジ色のネクタイ。
短くしても長くしても不恰好なスカート。
入学する前から評判の悪かったこの制服。
それでも、私はこの制服が大好きでした。
学校帰り、制服のまま、よく街まで買い物に行きました。
制服のまま、学校をサボって遊びに行ったり、映画を観に行ったりしました。
修学旅行生の多い土地がらのため、補導されることもなく、制服を着て遊びに行っているので、祖母に心配されることもありません。
なんといっても、自分自身が制服を着ていることを、いちばん安心していました。
私にとって、「お守り」のような存在だったのかもしれません。
制服を脱いで何年か後、母校に教育実習に行きました。
私が着ていたのと同じ制服を、がんばってかわいく着こなそうとしている生徒たちに、
「なんにもしなくても、今のままで十分にかわいいよ」
と言っても、通じないでしょう。
最後の授業のときに言った言葉は、
「卒業して何年か経ったときに、母校の制服を見て『あの子たちは私の後輩なんだ』って、胸をはって誰かに言えるような制服の着方をしてください」
先輩の影響を、もろに受ける後輩のために、そしてゆくゆくは自分のために、きちんとしていてほしい。
そんなことを伝えました。
「今は、わからなくてもいいから。きっとあとでわかるから」
そんなことを付け加えて、授業を終えた気がします。
どんどん自分が成長し、良くも悪くも変わっていくなかで、変わらぬ何かを見つけることのたいせつさを、5つ年下だった彼らはもう感じていることでしょう。
私の大好きだった制服は、限りなくきちんと着てくれそうな後輩に譲りましたとさ。
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