株式会社JOYWOW
椰子の実日記【JOYWOW】
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2008年03月30日(日)


ちりとてちん、ありがとう!




トンネルを抜けるとブワーーーーッと広がる鎌倉の海。
視界が開ける思いが、いいねえ。いつも、気持ちいい。

さて、NHKの朝ドラ『ちりとてちん』が終わってしまって、
寂しい限り。

本当に良くできたドラマだった。夜のドラマが、漫画や
小説が原作のため、ある程度視聴率が予測できたり、
あるいは徹底的に手抜きで、バラエティ番組化して
いたりして(さんまと長澤まさみのドラマは本当にひどかった)、
品質が低下していることに比較するまでもなく、ここ
数年のドラマの中では最高の品質だった。

演出、撮影、照明、音声、などのスタッフが、プロとしての
仕事をきっちりやったらこうなる、という見本のような
仕事を見せていただいた。

脚本も練りに練られていて、伏線の見事なこと。
テーマが「伝承」という明確な一本に絞り込まれていて、
すべてがテーマに収斂する見事さ。

そしてもちろん、和久井映見を始めとするベテラン陣、
貫地谷しほりを始めとする若手メンバーの演技の見事さ。

朝ドラはたいてい、「そこは見逃してください」的な
「ぬるさ」があって、たとえばそれが新人ヒロインの
どうしようもない演技であったり(これはデビュー
したての沢口靖子以来の伝統であろう)、ストーリー
の無理な展開(例えば『どんど晴れ』のヒロイン女将
修行への動機)であったり、張られていたはずの伏線
が途中で切れてしまっていたり(あったと思うが、思
い出せず)、それの存在が耐え難い軽さとなっていた
のだが、今回は皆無。

面白いことに、携帯電話が全く登場しない。ITも登場
しない。唯一、原稿執筆手段としてのラップトップが
出てくるくらいだ。

登場人物たちは、用があったら、会いに来る。
突然であろうと、何であろうと、実際に会いに行く。

終わるのが哀しいドラマに出会えたことは、本当に
幸せでした。こんな高品質ドラマが低視聴率である
ことは、やはり日本人の劣化をそのまま表している
のだろうな。

ちりとてちん、幸せな朝の時間を半年、ありがとう!

 

Kei Sakamoto |株式会社JOYWOW