椰子の実日記【JOYWOW】
2004年12月10日(金)
a man of tact
翻訳の経験を積めばつむほど、時間がかかるようになった。
英語力は人生経験を積むほどついてきた(20歳の頃より 英語力は格段に高くなっている)のだが、翻訳は 英文和訳ではないことがポイントだ。 イエス、翻訳力は日本語力なのである。いい翻訳に するためには、日本語の味蕾が磨かれていなければ ならない。そして年齢を重ねるほど、日本語に対する 「舌」が肥えてきて、簡単には満足できなくなる。 だから時間がかかるのである。
また、著者が語彙にこだわる人ならなおさらだ。 ポール・ホーケンは文学的表現を好むので、神経を 使う。
例を挙げよう。a man of tact を訳す。 「tact」とは、「如才ない、機転がきく」という意味。 しかし、たとえば現代日本で「如才ない」と書いた時、 正しく意味が伝達されるだろうか。この場合「man」は 主人公であり、現在は教会の聖堂守をしているがこの 後ビジネスに身を転じ、成功する男である。で、あれば、 伏線にもなる紹介の仕方をしなければならない。 そもそも「如才ない」を「声に出して読めない」かもしれない ではないか(じょさいない、です)。
そこで悩む。辞書をいくつもひき、考える。関係のない小説を 読んでみることもある。語彙を探すためだ。

結果、ぼくがやった翻訳はこうだ。
「人付き合いがうまく」
いずれにしても、この部分、『Growing a Business』の最終章 であり、抜群に面白い箇所である。期待していてください。 ちなみにこの本、ぼくのこれまでの翻訳書原書の中でベストの 本だと思う。ポール・ホーケン、本当にいい本を書いてくれた。 感謝! 現代日本ビジネスパースンに大いに役立つと思います。
新春には店頭に並ぶよう、がんばります。
ちなみに翻訳そのものは今日、午前中に終了しました。 バンザイ!!
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