「これは嘘だよ」
顔を合わせるなり塔矢はそう言って続けた。
「キミが好きだ。愛してる」
そしてそのまま微笑んで去って行こうとするから慌ててその手を捕まえた。
「待って!」
「なんだ」
「おまえ今日この後オフだろ。おれ、三時から一件約束あったけどキャンセルするからこのままずっと一緒に居て」
「は? なんで」
「十二時過ぎるまで一緒に居てくれよ。それで『明日』になったら今のもう一度聞かせて欲しい」
四月一日だから嘘なのか。
四月二日になってもやはり嘘なのか。
その辺りちゃんと聞かせてもらうまではこの手絶対離さないからと言ったら塔矢は軽く天を仰ぎ、それから覚悟したような表情で「いいよ」と短く頷いたのだった。
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