SS‐DIARY

2020年12月22日(火) (SS)冬至



もの凄い喧嘩をした翌日、当然朝からひとことも口をきかなかったし、棋院で会っても完全無視だった。

だから食事当番もやっていないだろうと思ったら進藤はちゃんと夕飯の支度をしてくれていて、無言でぼくの前にかぼちゃのいとこ煮を置いた。

お風呂に入ればゆず湯になっていて、ぼくは我慢できずに笑ってしまった。


(これだから…勝てない)




「進藤」


風呂から出て声をかけても他所を向いている。


「デザートを食べないか? かぼちゃのムースを買って来たんだ」


途端にくるりと振り返り、進藤はなんとも言えない顔をした。


「そんなんだから、おまえはさぁ…」

「何?」

「…狡い」

「それはこっちのセリフだ」


昨日は殴り合い寸前まで行ったというのに、同じ部屋でぼく達は二人で仲良く冷たいデザートを楽しく美味しく食べたのだった。


end


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