SS‐DIARY

2015年06月23日(火) (SS)ぐうの音も出ない

服装がだらしない。

髪に寝癖がついている。

歯は磨いたのか、朝食はちゃんと食べたのか。

トイレから出たらハンカチで手を拭け、そもそもハンカチは持っているのか。

雨の日には傘を持て、ジャンクフードばかり食べるな。

顔を見るなり塔矢はおれに注意ばかり言ってくる。


「キミ、また遅刻すれすれで手合いに来ただろう。もう少し時間に余裕を持って行動しなくちゃダメじゃないか」

「うるさいなあ、いつもそれで間に合ってるんだからいいだろう」

「今までは大丈夫でも万一電車の遅延などで間に合わなくなったらどうするんだ、あまりに非道いと不戦敗になってしまうぞ」

言うことは一々正しいんだけど、あまりに細かいので鬱陶しくなって来る。

「それからキミ、昨日は終電で帰ったらしいけれど飲むのも程ほどにしないといつか体をこわすぞ」

「あーっ、もうっ! おまえはおれのお――」

奥さんかよと言いかけて、恥ずかしくて咄嗟に言い直す。

「お、お母さんかよ」

塔矢はきょとんとした顔でおれを見つめ、それから言った。

「いや、恋人だ」

だからこそ心配して言っているのだから少しはぼくの言うことも聞いてくれと間近で真顔で説教されて、おれは何も言い返せずに、染まった頬を黙って両手で擦ったのだった。

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アキラにしてみれば、今更何を言っているんだという感じです。


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しょうこ [HOMEPAGE]