休みの日はなるべくゆっくり寝かせておいてやろうと思っているのだが、さすがに昼近くになっても眠っているので起こしに行った。
「進藤、進藤」
ゆさゆさ揺さぶると呻くような声が漏れる。
「キミ、いつまで寝ているんだ。そろそろ起きないと昼になるぞ」
そして更に揺さぶるとようやく薄く目を開けた。
気持ちよく眠っていた所を起こされたのだから文句の一つや二つ言ってくるだろうと思っていたのに何故か進藤はぼくを見て、非道く嬉しそうに笑ったのだった。
「あー…悪い、おはよう。今日どこか行きたかった?」
「いや、そういうわけじゃないけれど、放っておくと一日眠っていそうだったから」
「…ん、そうだな。そうしたら一日台無しだったな」
起こしてくれてありがとうと、ふにゃっとした笑顔で言うのをじっと見る。
「何?」
「どうしてそんなに幸せそうなんだ?」
進藤はいかにも満ち足りていて、いかにも幸せそうだったからだ。
起こしておいて言うのもなんだれけれど、疲れて帰って来た翌日だ、普通もっと寝起きが悪いものではないのだろうか?
「えー? だってシアワセだから」
ふにゃふにゃとだらしない顔を枕に押しつけるようにしながら進藤が言う。
「だって休みの日にお前が起こしてくれるんだぜ?」
こんなすげえシアワセなことって無いじゃんかと言われてぼくは言葉に詰まってしまった。
「…そんなことを言ったって別に何も出ないぞ」
「そんなんじゃねーよ、本当に本気でそう思っただけ」
そしてそれを証明するかのようにいつまでも満ち足りた猫のように幸せそうにぼくのことを見つめ続けるので、ぼくは恥ずかしさに耐えきれず、折角起こした彼を再び布団の中に埋めるはめになったのだった。
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