| 2014年02月09日(日) |
(SS)庭駆け回った |
雪で喜ぶのは子ども。大人はそんなもので喜ばない。そう言ってぼくを抱きしめた彼なのに翌日起きてキッチンに行ったらシンクの中に小さな雪だるまがいた。
「進藤、キッチンのあれ、キミが作ったのか?」
「あれって何? おれ知らないけど」
それが何かも聞かない内に知らないと言っている段階で白状しているのと同じなのに進藤はしらを切り続ける。
「いや、雪だるまがあるからどうしたのかなって」
「歩いて入り込んで来たんだろ。あいつら隙間からでもなんでも入り込んで来るもんだから」
「キミね」
ゴキブリじゃないんだからと軽く頭を小突いてから、ぼくはちょっと間の抜けた顔をした雪だるまを冷凍庫に引っ越しさせてやったのだった。
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