SS‐DIARY

2011年12月26日(月) (SS)おれ達のことデス


「進藤」

塔矢が珍しく言いにくそうに口を開いた。

「恥を晒すようで悪いんだが教えて貰えないだろうか」

こういう物言いをする時は、何か自分には解らなくておれには解るだろうことを聞きたい時だ。

塔矢は負けず嫌いだけれど、こういう所は素直で見栄をはらないので見栄っぱりのおれは尊敬する。


「いいよ、何? 何が解らないん?」

「最近よく耳にするんだけれど意味が解らなくて…」

リア充爆発しろというのはどういう意味だろうか? と思いきり真剣な顔で尋ねられ、おれは思わず爆笑した。


「なっ…解らないから聞いたのに、そんなに笑うことはないだろう」

真っ赤になって怒るのをどうどうと宥める。

「悪かった! でもそれって、おれらのことなのに」
「え?」
「うん、つまりおれらみたいなのを他のヤツらが見たら、そう言いたくなるんだってこと」


好きなヤツと好きなことを好きなだけすることが出来る。

「それってものすごく充実してるだろう?」
「でも…だったらどうして爆発しなければならないんだ?」

ぼくにはさっぱり訳が分からないと、これまた真面目に聞いてくるので、おれは塔矢が可愛くて、思わずキスしたくなるのを押さえながら、「僻んでるんだろ」とにっこり笑って返したのだった。


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