窓際で打っていたりする時、ふと顔を上げると塔矢の頬があまりにも綺麗で息が止まるような気持ちがすることがある。
もともと白い肌の上を覆うようにうぶ毛が光っていて、ほんの少し赤味が透けて見えるのもいい。
柔らかそうで触り心地が良さそうで、気がついたら両手で挟んでしまっていたりする。
(怒るかな)
最初はそう思ったけれど、されても塔矢は怒らないし、もっと更に触れたく なってキスしても塔矢は怒らない。
「どうしておまえ怒らないん?」
つまんないことではいつも怒ってばかりいるのに、どうしてこんなことをされて文句の一つも言わないのだろうかと不思議に思って聞いてみたことがある。
「別に嫌じゃないから」 「ふうん」
そうか、嫌じゃないのかと単純なおれはそれで嬉しい。
「それよりも、どうしてキミはこんなことをするんだ」
逆に問い返されてしばし黙る。
「うーん、したいから?」
答えたら再びそうかとそれだけを返す。
いいのかよ、本当にされっぱなしでいいのかよと思いつつ、塔矢に触れるのは気持ち良いので、今日も目の前にあるその顔を挟んで、思うまま、気の済むままに口づけていたら、塔矢は薄く微笑んでおれを見つめていたのだった。
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注、未満時。それが特異な行動であることに、二人は思い至りません。
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