SS‐DIARY

2007年07月03日(火) 「誘惑5題 44444 RIOさんキリリク(2)」


いつもはしっかりしていて微塵の隙も無い塔矢が、最近酔うと全て丸投げになる。

「もう動けない、キミが連れて帰ってくれ」

ザルだとばかり思っていたのに、ある程度以上飲むとそう言っておれの腕の中に倒れ込んでくるようになったし、連れて帰れば帰ったで子どものように服を着替えさせろとだらしなく寝そべったままおれに命令する。

「飲み過ぎた。指一本も動かせないよ」

だから脱がせてスーツはちゃんとクローゼットにかけておいてくれと、そのくせパジャマの類のある場所は何度聞いてもちゃんと答えず寝てしまう。

素っ裸に近い姿のこいつをどうしたらいいのだと、仕方なく毛布でぐるぐるに巻いて帰ろうとするとぎゅっと手を握って離さない。

「気持ち悪い。吐いてしまうかもしれないから悪いけど、ついていてくれないか」
「って大丈夫だろう、おまえなら」
「最近すっかり弱くなってしまったんだよ。前にもトイレで吐いていて気を失ってしまったし」

そのまま死んでしまった芸能人もいたよね? もしぼくが死んだらキミのせいだとまで言われては帰ることも出来ない。

(って…おれにとっては生き地獄なんですけど)

ずっともう何年も好きで居る相手があられもない格好で横たわっている。それに手を出さないでいるように堪えるのはおれにとってとんでもない苦行だった。

「でも…最近本当に弱くなったみたいだもんなあ…」

欲望に耐えられ無さそうだからと、見捨てて帰って取り返しがつかないことになってはもっと困ってしまうので、仕方無く飲むたびにそんなことを繰り返して来たのだけれどさすがに段々不安になって来た。



「塔矢、おまえさぁ、一度病院で看てもらった方がいいんじゃねえ?」

いくらなんでも弱くなりすぎだし、もしかしたら肝臓かどこか悪くしているのかもしれないからと真顔で迫ったらいきなり笑われた。

「大丈夫、どこも悪くなんかなっていないよ」
「だってそれにしちゃ、この頃の飲み方があんなんじゃ―」
「バカだなあ…キミは」

誘惑してるってことにいつになったら気がつくんだいと、半ば呆れ、でも愛しそうな目で見つめられておれはやっと事の次第を飲み込んだのだった。


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44444番を踏んでくださったRIOさんキリリク「誘惑」の二つ目。

「いつまでもいつまでも手を出さないで一体何をやっているんだ進藤はっ! ぼくにはそんなに魅力が無いのかっ!!(怒)」

アキラさんの怒りの声を聞いてやってください。


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