めったなことではなついて来ないのに、今日はなんだか人恋しいのか、あいつは朝から気がつけばおれのどこかに触れているのだった。
「なに?珍しいじゃん」
背中にもたれたり、座って雑誌を読んでいる足に頬をすり寄せてきたり。
「いつもはさ、頼んだって来てくれないのに」
からかうように言っても挑発に乗らない。 まるで暖を取るかのように、肌を寄せてくるので、何か落ち込むことでもあったのかなと思った。
「寂しい?」 「―いや」 「寒いの?」 「いや、別に寒く無い」
だったらなんでそんなにおれにくっついているんだよと、言ってもそれはスルーしてしまう。
(まあ、こういうのもおれは嬉しいし)
普段べたべたしてこないこいつが、寄ってきてくれるんだから別に理由なんてどうでもいいやとそう思う。
昼を食べて、夕方になって、薄暗くなった部屋の中で、ぼんやりとテレビを見ていたら、傍らで死体のように寝ていたあいつが、ふいに手を伸ばしてきた。
「暗い?電気つけようか?」
座っている膝に手をかけるので、起きあがるのかなと思っていたら、そのまま指がズボンの中に入ってきたので驚いた。
「な…なにしてんだよ」
無言のまま、ごそごそと探られてくすぐったくて払おうとするのに、塔矢は手を抜こうとはしない。
下着を探り、肌に直に触れる指に思わずぞくりと肌を震わせたら、初めて塔矢は口を開いたのだった。
「キミはぼくのものか?」
きゅっと長い指がおれのモノを掴む。
「ちょ…塔矢サン…一体何を」 「キミはぼくのものかと聞いてる」
言いながら動かされる指の感触におれのモノはあっというまに固くなって、恥ずかしさに顔が赤く染まった。
「っ…ておまえさぁ」 「まだ…答えてくれてないよ、キミはぼくの―」 「あー、もうおれはおまえのもんだよ、髪から頭からソコまで全部おまえのもんだってば」
それで気が済んだかと怒鳴るように言ったら、あいつは初めて笑顔になって「うん」と小さく頷いたのだった。
そうじゃないかと思っていたけど、やっぱりそうでよかったと。
満足そうな顔になったのに、でもまだ何か寂しいらしく、塔矢はおれを弄び続けるから、なんだかすごくかわいくなって、そのまま押し倒してヤってしまった。
小一時間。
終わった後、布団に移ってからもあいつはおれのモノを掴んだままで、そのまま眠ってしまった。
気持ち良さそうに、安心しきった顔をしているのを見ていたら、おれもあいつに触りたくなって、液に汚れたあいつのモノを指で絡めるようにそっと握った。
手の中の感触は温かく柔らかく。とても気持ちよくて幸せな気持ちになった。
「おれの全部、全部をあげる」
だからおまえの全部もおれにちょうだいと、そう囁いたら眠っているはずのあいつはきゅっとおれのモノを強く掴み、優しく微笑んで「あげるよ」と言ったのだった。
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結局なんなの?と聞かれたら、いやそこ握ると安心するよねと、ただそれだけのお話しでした。 実際はそんなもんついてないから本当にそうかはわかりませんが。
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