| 2004年07月03日(土) |
(SS)そういう日もある |
なんとなく甘えたい気持ちになって、「会いたい」とメールを送った。
即座に帰ってきた返事は「これから行く」というもので、でも途中、済ませなければならない用事があるので来るまでに一時間半くらいかかると言う。
「それでも待ってる」と普段なら書かないような自分の甘えた口調にさすがに恥ずかしくなった。
したいと。
自分からしたいと思う日がある。
抱かれたいと
愛されたいとそればかり考えてしまって
自分の淫らさに居たたまれなくなる。
「とりあえず…」
彼が来るまで時間があるし、シャワーぐらい浴びておこうと浴室に入り、全身くまなく洗ってしまう。
触れられることを前提に洗うなんて、自分はなんて恥ずかしい人間なんだろうと、でも「いいにおい」と言ってもらえるのが嬉しいので髪まで洗ってしまった。
風呂場から出て、清潔な服に着替え、髪を乾かす。
それでもまだ時間が余ったので爪を切ることにした。 ずっと前に背中に爪をたて、傷つけてしまったことがあるからだ。
歯も磨いて、これで完璧と思った時にちょうどタイミング良く進藤が到着した。
「塔矢―」
むぎゅっと抱きついてくるなり、くんくんと犬のように首筋に鼻を押しつけてくる。
「おまえ、すげぇ、いいにおい」
言って欲しかった言葉を言ってもらえて満足する。
ぎゅむっ、ぎゅむっと抱きしめられて、さて次はキスかなと思ったら進藤はそのまま部屋に上がってしまった。
「…えっと」
いつもだったら間違いなくここはキスなのにと思いながら後に続くと、進藤は何故か台所にいるのだった。
「進藤?」 「あ、ちょっと待ってて、親戚のオジサンに蟹もらってきたんだ、おれ」
土産取りに来いとちょうど連絡もらってさー、おまえメシまだだろうから一緒に食おうぜと、にっこりと言われて言葉に詰まる。
蟹は好きだ。
大好きだ。
でもぼくは今日は蟹よりもキミの方がいいし、キミにも蟹でなくぼくの方を食べてもらいたいのに。
「ほら、食えよ、もっと食え。おまえちょっと痩せすぎなんだよなあ」
結局、蟹と一緒にもらったという海胆と、塩からと地酒とで飲み会のようになってしまった。
「うまい?」 「…うん」
蟹も海胆も酒もどれもすごくおいしかったけれど、でもぼくは…。
「はー食った食った。ごちそーさまでしたっ」
食べ終わるなり進藤は、ごろりと畳の上にひっくり返ってあろうことかそのまま眠ってしまったのだった。
実はその前日徹夜で、叔父さんの家でもタンスの移動など手伝ってくたくたに疲れていたのだとは翌日聞いたことだけれど。
「…なんで?」
なんでこうなってしまったのかなあと、気持ちよさそうに眠る進藤に布団をかけてやりながら、ぼくはなんとも腑に落ちない気持ちになったのだった。
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いや、かみ合わないこともあるよねって(笑) 大丈夫です。翌日にちゃんとたくさんしてもらってますアキラ!
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