| 2004年06月07日(月) |
(SS)キスをして+ |
するなするなと言っているのに、進藤はふいをついて街中でもキスをしてくる。
その日、棋院の階段をゆるく降りかけていた時も、ふいに呼ばれ、振り向いたらキスをされていた。
「―だからこういう所でするなって」
睨んでも進藤は全くひるむ様子も無い。
「エレベーターを使わずに、わざわざ階段なんか使うってことは、されてもOKってことだっておれは思ってるけど」
悔しいかな、それは事実でもあったので反論ができない。 してもいいというよりも、される確率が高いから、されて困らない所を選んで歩くようになったという、それだけなのだが。
それでも、されること自体、悔しいかな嫌いでは無いので、なんとなく負けたような気持ちになってしまう。
むっつりと降りる、その背中に進藤が再び声をかけてきた。
「なに?怒った?」 「…いや」
沈黙のまま一階分降りきった所でまた進藤が声をかけてくる。
「なあ、キスの反対ってなに?」 「え?」 「なぞなぞだよ。なあ、キスの反対ってなんだ?」 「…スキ、だろう?」
そ、と嬉しそうに進藤が言った。
「好きだからついキスしちゃうんだよなあ」 「だからって、人に見られるような所でしていいってことにはならないだろう?」 「んー、それはそうだけどさ」
なんとなく足が止まった所でねえねえ、そんじゃさと、進藤がまた口を開いた。
「それじゃ、好きの反対はなんだ?」 「…キ…ス?」
そ、と言って、言いながら身を乗り出してくる。ああと思うまもなく唇が重なり、嘗めるようにして離れた。
「なにす―」 「だからさあ、好きだからキスをするし、キスをするともっと好きになっちゃって、またキスをしたくなるんだよなあ」
そーゆーことなんだから諦めろよと勝手なことを言うと、進藤はまだ何も言い返せないでいるぼくの頬に、今度はかすめるようにちゅと軽いキスをして、笑いながら階段を駆け下りて行ったのだった。
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けものヒカルです。何を言ってもアキラは屁理屈ではヒカルに勝てません。かわいそうです。
でもいいか、幸せだから。
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夜になって、ちょっと調べ物をしていてヒカ碁の一巻から最終巻まで全部に目を通しました。 読みはじめたら大変なことになるのであくまでめくっていただけですが、それでも途中、止まる止まる。
やっぱりヒカルにとって佐為はとても大切な存在なんだなあと改めて再確認したり。アキラとヒカルは本当にお互いに引き合ってるんだなあとこれまた再確認したり。
佐為ちゃんが消える辺りではやっぱり切なくてちょっと泣いてしまいました。
もう何度も書いているからいい加減しつこいよと言われそうですが、私、ヒカ碁は本当に原作のファンなんですよ。
今まで色々なものに転んできましたが、ヒカ碁に関しては本当に原作にノックアウトされて、好きで好きでたまらなくなってしまったんです。
読んで手が震える程感動した漫画は、今までの人生で「ヒカルの碁」だけです。
大げさなと言われるかもしれないけれど、フツーに読み始めて、(友達から二回に分けてまとめ借りした)十三巻を過ぎる辺りから、次の巻を手に取る時にアル中の人のように手が震えて止まらなかったんですよね。
うわ、なんだこれと自分で自分の手を見ちゃいましたもん。
な、なんで震えてるんだー?(^^; で、どんどん巻が進むにつれて読む速度も速くなってきて、十七巻まで一気に読んだのでした。
そう、貸してくれた友達は親切な人だったので、「ここでキリがいいから」と十七巻までを貸してくれたんですよ。
ぎゃああああああ、続きぃぃぃぃぃぃぃぃ!
そのまま発狂したように続きの巻を買いに行ったのは説明するまでもありません。当時十九巻まで出てたのかな?探して探して買いましたともさ。
それくらいの「好き」。 もう何度も読んだけど、何度読んでもおもしろいと思います。
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