SS‐DIARY

2004年05月19日(水) (SS)蜜の罠+北斗杯への道

眠るキミの耳に「好きだよ」と囁く。


てらいなく言えるキミと違ってぼくは

どうしても恥ずかしくて言うことが出来ず、こうして眠っている時にだけ、やっと本当のことが言える。


「好きだよ」
「キミが好きだよ」


キミがいなければ生きてはいけないと。

思いつつ囁いて、幸せな気持ちで寝顔を見る。


「好きだよ進藤」
「大好き」


どうして起きている時に言ってやれないものかと少しだけ後ろめたい気分にもなるけれど仕方ない。


密やかなこの秘め事を進藤は知らないものとばかり思っていたけれど
ある日、にっこりと笑われて「おれも好き」とキスをされた。


「お前が好きで」
「好きで好きで好きで好きで死にそうなくらい」


愛で死ぬってマジであるかもと、冗談めかして笑いながら、でもキスは真剣だった。


「愛してる」
「愛してる」


愛してる。アイシテル。


惜しみない言葉で抱きしめられながら


今まで彼がずっと寝たふりをしていたことを


この日やっとぼくは知ったのだった。



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