SS‐DIARY

2003年10月08日(水) ちょっとだけヒカアキ(ヒカル)

その日は秋晴れの気持ちのいい日で。
だからなんとなく近所に散歩に行った。

歩いて行ける所に大きな池のある公園があり、そのまわりを二人でゆっくりと歩いた。

同じこの公園に、春は満開になる桜を見に来た。
「会社員じゃないってのはこういう時いいよな」
そう言いながら水面に散る花のひらを見ながら弁当なんか食べたような気がする。
「キレイだね」とあいつはそう言って、ずっと池を見つめていたけれど、おれはそう言うあいつの顔だけを見つめていた。


夏も夏で「日焼けしちゃうな」と言いながら、やはり散歩に来て、東屋の中から釣りをしている子どもたちをながめた。
暑くて暑くて暑かったけれど、通りかかったアイスキャンディー売りから、みぞれ味のアイスを買って二人で食べた。
「こんなの食べるの子どもの時以来だ」とそう笑う顔がかわいくて、でも言うと怒るので黙ってアイスを食べ続けた。


そして今、秋に同じようにこの公園に来て、色づいた木々をながめている。
暑くもなく、寒くもない。

ただ染みるような青空の下、手をつないでゆっくりと他愛ないことをしゃべりながら歩いた。

幸せだと思った。


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