痒痛 ☆ 日記 
お酒と音楽と変人と。菫色の日々。

2011年03月22日(火)  涙の力

同じようなニュースの繰り返しや、原子力専門家の解説にうんざりした時には、
毒にも薬にもならないような 動物番組や世界遺跡番組や映画を見ていました。

ある晩、プラダを着た悪魔 という、面白いけど別に見なくても人生になにも影響はないよ、
という映画を見ていて、
そこに映ったパリの姿に、なぜだか泣いてしまいました。
何度も訪れたパリ。
映画の中の風景に、
ああこの前この噴水の前で一服したなあ、
この博物館の前は何度も歩いた、
この教会の前の通りで買い物したことある、
さすがにいいところばかりでロケしているなあ、
と、感心していたのですが段々と、

きれいだなあ、
そうそう 街灯に照らされた夜のパリはほんとうに素敵なんだよね、
きれいだ。

映画の中のパリの街はほんとうにほんとうにきれいに見えて、
夜のシーンでは、古いふるい石造りの教会や、昔の貴族の館であった豪華なアパルトマンが静かにゆるぎなく佇んでいるように見えて、
ふと、
ああ この国には地震がないんだよなあ
と思ったらなぜだかどんどん涙が出てきました。
正直 はじめてのことですが 羨ましい とその瞬間思ってしまったことに気付き自分でびっくりしました。

わたしの国は 逃げようのないほんの一瞬の間に、
おそらく3万人近くのひとが命を落とし、
35万人以上のひとが家を失い、
漁師は船を失い、
田畑は海水におかされてしまった。

そのまま涙を流しながら最後まで、面白いけどどうでもいい プラダ〜
を見て、メリル・ストリープいいじゃん とか思いながら鼻をかんで、
またチャンネルをポチポチして避難所の子供たちや、消防団のおじさん達や、
普通に一生懸命働いているお店のひとや役所のひとたちの映像をみているうちに
今度は強烈に、

元気になりたい
という気持ちがわいてきました。
この病気がわかってから一番の強い気持ちで 元気になりたい、と思っていました。
治りたい というのとはまた違う気持ちで、
このまま半病人みたいに世の中を眺めたままでいるのはいやだ、
仕事がしたい 会社にも行きたい 友人と遊びたい 歌も歌いたい 芝居にもでたい 
誰かとなにかがしたい お金を稼ぎたい
少しでもいいからこの国のさいわいのための一片になりたい。

それからはテレビで誰かが 頑張る と言えば わたしも
逃げません と言えば わたしも
とコール&レスポンスしています。


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