ル誕な小咄(汗)
2006年05月12日(金)
「あー、腰がダリィ…」 早朝のキッチンで、サンジはうっそりと呟いた。 決して人には言いたくない、あらぬ場所が痛いし。 今日は我等がキャプテン・ルフィの誕生日だ。 それとあらぬ場所の痛みとがどう関係しているかというと―――。
誕生日の前夜は、好きな相手と一晩過ごしたい。そして、朝起きていちばんにおめでとうを言ってもらいたい。
以上のような内容を、ルフィは非常に奴らしい、常人には難解な言葉で語った。 その後、頭の中でルフィ語から人語にトランスレートして、それがあまりにも彼らしからぬ、普通の人間が言いそうな事であることに目を剥いて、さらにしばらくの後、その『好きな相手』というのが自分の事らしいと気づいたこの船のコックさんは、ばっきりと固まった。 妙にピュアな目をして、じっと辛抱強く見上げてくる船長に、頭を掻きむしって叫び出したい衝動に駆られながら。 何故って。 恐ろしい事に、このレディ絶対主義の自分が、野郎なんぞに言い寄られたら、絶対に慇懃な四文字熟語と丁重な蹴りでもってお断りするはずの自分が、どうしたって、絶対に、奴のそんな申し出を拒否できない事に気付いたからだ。 奴が自分に向ける感情にはなんとなく気付いていた。 明らかに、他のクルーに対する態度と違うのだ。とにかくとことん甘えてくる。それこそ「俺ってお前のナニ!?」なんて恥ずかしい事を聞きたくなるくらい。 そして悲しいかな、サンジはルフィにとことん甘えられるのも、とことん甘やかすのも大好きなのだった。他の連中の手前抑えているが、ねだられれば、「あーん」とか言って手ずから餌付けしてもいいくらい。いやむしろしたい。ルフィがそんなまだるっこしい食い方するわけないのが憎いくらいだ。
つまりまあ、そんなわけで。
タンタンと拳で腰を打って、サンジはひとつため息を付く。 万が一の事を考えて(万が一ってなんだ!?)昨夜のうちに朝食の下拵えはほぼ終えていた。 サラダの用意はできたし、あとはスープを温めるだけ。 まだ誰も起きて来る気配は無い。椅子に腰掛けて、ぼんやりと煙草を吹かしていたら、ドアの向こうからパタパタと騒々しい足音が聞こえてきた。間違いようも無いその足音の主に、夕べの今朝でどんな顔をしたらいいのか、少々どぎまぎしている自分にげんなりする。 「サンジーーー!!」 バターン!!とえらい勢いで開かれたドアに、眉をしかめて振り向く。 「お前、ドアはもうちょっと静かに開けろっていつもナミさんに…」 「なんでいねぇんだよ!!」 「は?」 出会いがしらから全く噛み合っていない会話に、サンジはますます眉をひそめる。 そんなサンジを非難がましい目で睨みながら、ルフィは草履をペタペタと言わせながら近づいてくる。 「なんで俺が起きるまで側にいねぇんだよ!サンジいねぇから焦って泣きそうになったぞ俺は!」 目の間にどーんと仁王立ちになって、情けない台詞を吐く船長に、サンジはたっぷり30秒くらいあんぐりと開いた口が塞がらなかった。 「あー…まあ…そう、そうね」 ゴホ…とわざとらしい咳ばらいなんぞをしながら、サンジはどう答えたもんかと必死で考える。 これは、もしかしてあれか?初めて一緒に朝を迎えた時に、レディがよく言うあれか? 確かに、確かにマナー違反かもしれない。あくまで自分達を恋人同士と定義したとして、だが。 (こ…恋人って…) 己の脳内での台詞にくらりとめまいがして、思わずげふげふと咽せるサンジであった。 ああ、確かに。確かに相手がレディなら、俺も細心の注意を払っただろう。美味い朝食を用意してやりたいというジレンマと戦いながら、それでも彼女の寝顔を幸せな気分で眺めているだろう。 だがしかし。 こいつは男で俺も男で、さらに不本意ながら、問答無用で女性の役割を割り振られたのは自分の方で…。 しかも可愛らしいレディの寝顔ならば見飽きる事もないだろうが、大口開けてヨダレたらしてイビキかいてる野郎にそんな気遣い…。
するりとルフィの腕が首に巻き付いてきて、ぎょっとしたサンジは危うく銜えていた煙草を落としそうになる。拗ねた様に唇を突き出して、「お前冷てぇぞ〜」なんて言ってる顔は、もの凄く甘ったるい。 そう言えば、夕べのこいつも驚く程に甘かった。 しつこいくらいにキスをされた。何度も名前を呼ばれた。じっと目を覗き込まれて、何かを確かめるように身体中を探る手に、堪らない気持ちになって、気付けばえらく盛り上がってしまった。 そうだ、あれは性行為じゃなくて、愛の行為だった。 自分の作ったメシだって、ろくに味わいもせずに端からかっ込むルフィだから、セックスだってもっと即物的だと思っていたのに。
子犬の様な目でじっと見つめられて、目眩がする。 「ああ、いや…まあ、そうね―――悪かったよ」 大変歯切れ悪く、往生際も悪く、もごもごと謝罪の言葉を口にする。 「わかりゃいーんだ」 サンジにへばりついたまま偉そうに頷いたルフィが、「次からはちゃんとしろよ」と続けた一言に、そうか、次があるのか、となんだか激しく動揺した。やはり奴の中では、自分達はきっちり出来上がってしまっているらしい。 確かに、ルフィには口が裂けても言うつもりは無いが、目が覚めてしばらくは、そんな寝汚い寝顔を幸せな気分で眺めていた。しかも、体の奥に残る痛みにすら、甘い感慨を覚えていたり。 なんだか背筋がざわざわして、サンジはブルブルブルっと頭を振ると、ルフィを押しのける様にして立ち上がる。 そろそろ皆が起きて来る。スープを暖めなくては。 「おいサンジ、返事は!?」 素っ気なく押しのけられて、むくれた顔の船長が、コンロに向かうサンジにまとわりつく。 「………まあ、朝飯遅れてもいいならな」 「それはダメだ!それはごんごんどんどんだぞ、サンジ!」 「……言語道断ね」 ルフィ語のエキスパートになりつつある自分にちょっと物悲しい気持ちになりながらも、サンジはこの先の事を思う。 本人に自覚はないだろうが、どうやら我らが船長は、相当な恋愛体質だったらしい。まあ、気に入った人や者に対するこいつののめり込み方を考えると、案外意外でもないのかもしれない。 そして、どうやらそんな彼の恋愛対象になってしまった自分も、ぶっちゃけ相当な恋愛体質なのだ。 「……やべぇ、どうなんだ、この先」 「あ?何が?」 レードルで鍋の中身を掻き回すサンジの肩に顎を乗せ、後ろからしっかりとウエストに手を回したルフィが顔を覗き込んで来る。もう片方の手が鍋の中に伸びて来るのをていっと払いながら、「なんでもねーよバーカ」とそっけない口調で返しながらも、サンジは口元が緩んで来るのを抑えられなかった。
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こないだの日記で、ル誕に何にもできなくてごめんなさい、と書いたらば、早速タラちゃんからレスポンス。 タラちゃんちの船長祭りは、5月9日のコックさんの日が定説です。 ならば頑張ってみましょうか、と思ったら、大風邪引いて寝込んでしまいました。 とりあえず、携帯でポチポチ打ってた話を仕上げてみました。珍しく黒くないせんちょです。
………タラちゃんごめん!マジでごめん!
◇メルフォお返事!
Tラちゃん(今更伏せても…)、そんなわけで、5月9日には間に合いませんでした、その上結局小咄になってしまってごめんなさいです…。しかもエッチなし(汗)。胸を張って捧げられるブツが出来ませんでしたー!(いや、毎年そうだから…)やっぱり不甲斐ない私を以下同文…。ごめんよー!でもTラちゃんちのル誕、楽しみにしてますー。頑張ってねー!
Iガミさん、こんにちは!毎度ありがとうございます。スーツのエースに萌えます(見た事ねーけど)。海軍の制服にも激萌えしました。そして私はメガネフェチです。眼鏡っ子ミスタープリンスにも激萌えでしたが、おっとこまえの銀縁眼鏡とかも大好物ですよハァハァ…!
Kぬこさん!お久しぶりです!メッセージありがとうございます!でもなんで謝るの!?(笑)息子さんだけ引っ張り出して銜えちゃうの萌えですよね。全部脱がずにあれこれ引っかかってぐっちゃぐちゃになってるのがエロいと思います。
Wんこさん、あ、ありがとう、恐れ多いお褒めのお言葉、最近怠けっ放しのワタクシには恐縮過ぎてひたすら小さくなってますですよ。どうにでもされちゃう兄は、でも最後にはヘロヘロになったサンジちゃんの事好きに弄くり倒しちゃうんだと思います。
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