どうでもいい話。でも言わずにはいられなかった話。
2003年08月23日(土)
奴が…出ました。
この季節、ガブを悩ますあの傍若無人なあいつ。 何ってアブラゼミですよ、アブラゼミ。
ガブはマンションの9階に住んでいます。 当然の事ながら、どんな大木も9階までは届きません。 なのに、なのに何故! 毎年毎年この時期になると、奴らはウチのベランダに死のダイブをかましてくれます。 死んでいると思って片付けようと手をのばしたとたん、ありえないくらいの大きな声で鳴かれ、チビリそうになったことも一度や二度ではありません。
先日もトイレに行こうと部屋を出たら、廊下の窓の網戸に奴が張り付いているのを発見しました。 そして私の姿(もしくは物音か?)を認めるなり、あの「何もそんな大きな声で鳴かんでも聞こえるわ」てな大音響で鳴き出したのです。 いやもーうるせーうるせー。 それでもしばらくすると静かになったのでホッとしていたら、私がトイレから出たとたんまた鳴き出すのです。 それからというもの、私が部屋から出ると鳴き出し、引っ込むと止まる。そんなことの繰り返し。
………私はもしかして奴に求愛されているのか? 私に惚れても無駄だぞ。私はお前なんか大嫌いだ。
しばらくそんなことをくりかえし、コンビニに行こうとビクビクしながら部屋を出たら、いつのまにか奴は消えていました。 ところがホッとしたのもつかの間。玄関を出たら、なんとドアの真前に奴が居るではないですか! しかもハラ見せて!足モガモガさせて!!(憎!)
……しばし奴とにらめっこ。 弱っているそぶりを見せて油断させ、こっちが気を抜いたところで大声出してビックリさせるというのが奴らの芸風です(いや芸なんかい)。 しばらくどうしようか迷った挙句、ガブは勇気ある撤退を選択。 畜生、今日のところはこれくらいで勘弁しといたる。
「キライキライも好きのうち」はちょっとおバカちゃんなサンジならあり得ますが、私にはないね。キライなもんは一生キライじゃ。 実はガブ、アブラゼミに関してプチトラウマがあるのです。
小学生のころ、公園で偶然会った同級生に「これ持ってて」とアブラゼミを渡されました。 せっかく彼が捕まえたのだからと、逃がさないように一生懸命持っていたら、彼がおもむろに取り出したもの、それは……。
事もあろうに注射器でした。 昆虫採集セットについてくるようなアレです。
今でも手に感触が残っています。針があの硬い殻にメリメリいいながら刺さる感触が(ぐああぁ〜〜…!←チキンスキン)。 そして、すっかりビビったガブが思わず手を離したら、針に刺さったまま奴がバタバタと羽ばたいたのです(ぬおおぉ〜〜!)。 それに驚いた友人も注射器から手を離してしまいました。 そうしたらなんと!そのアブラゼミは、ハラに注射器を刺したまま飛んだのです(にええぇ〜〜!)。 落ちだけど、落ちながらも奴は確かにちょっと飛んでました。 あり得ねぇ!そんなに頑張るな!根性見せるな畜生!(ハァ、ハァ、ハァ…)
そしてさらにもう一つ。 ガブもすっかりオトナになったある夏の夜。
その頃ガブの自宅付近の通勤路はやたらと墓の多い、暗い道でした。 その日も暗い夜道を歩いていると、突然足元からガブの天敵の鳴き声が! ガブはビックリして飛びのきました。 が!その次の瞬間、何者かがガブのフレアのロングスカートの中に侵入してきたのです。 何者かってそりゃもうなに勿体付けてんだよ!ぶっちゃけ奴ですよ!アブラゼミ! 足の間を掠める硬い感触。だぁあ!思い出しただけで身の毛がよだつ。
ガブは走りました。奴を振り落とそうとひたすら走りました。
フレアスカートをハラまでたくし上げ、奇声を発しながら極度のガニ股で墓地の間の暗い路地を全力疾走する女をついうっかり目撃してしまった人が居たとしたら、大変お気の毒でした。 まるで八つ墓村のワンシーンのような光景であったことでしょう。
ほらね、これでキライになるなと言う方が無理だってもんでしょう。 そして今年も又、奴にまつわるひと夏のメモリアルが、ガブの心のトラウマ日記に追加されたのでした。
あ、ダメ…今日の日記、自分のダメージが大きすぎ…。 もう寝ますおやすみなさい。
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