エンターテイメント日誌

2006年06月20日(火) ある女の一生

中島哲也監督は天才だ。もちろん映画「嫌われ松子の一生」の評価はAである。「下妻物語」も傑作だったが、「嫌われ松子」はよくもまあ、あの陰惨な原作からこのような極彩色のミュージカル映画を作り上げたものだとほとほと感心した。「オズの魔法使い」など黄金期のMGMミュージカルを彷彿とさせ、と同時にディズニーのミュージカル・アニメ風でもある。日本でこれだけ完成度の高いミュージカル映画は稀有である。

しかしこの映画が掛け値なしの傑作であるということと、筆者が好きであるかどうかは全く別問題だ。いくら表層はファンタジーでも、救いのない物語であることに変わりはない。カタルシスがないというか、観終って鬱々とした気持ちになった。まあ、お話どころか映画の見てくれ (Look) もお粗末・悲惨な「ダンサー・イン・ザ・ダーク」よりは遥かに見応えがあるのだが。

中谷美紀が熱演。しかし、もともと演技が巧い人ではないので、若干空回り。クドカン(宮藤官九郎)演じる太宰に憧れる破滅型小説家がはまり役で最高に可笑しかった。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]