エンターテイメント日誌

2005年12月03日(土) 花より三丁目の男子

堀北真希が可愛いのでテレビドラマ「野ブタ。をプロデュース」を第一回放送から見始めた。しかし、ドラマの出来が余りにも酷すぎて第2回ではや挫折した。大体原作ではキモチ悪いほどおどおどしたデブ男であるはずの<野ブタ。>をテレビでは美少女が演じるのだから説得力がないわな。演技力が欠如したジャニタレも鬱陶しいし。

そういう訳で今年の秋のドラマはTBSの「花より男子」の圧勝である。これは面白い。まず何てったって脚本の出来が良い。出演者では花沢 類を演じる小栗 旬が凄い。いやはや参った。まさにはまり役。映画「ロボコン」(2003)のあの少年と同一人物とはとても想えない。小栗はこのドラマで大化けした。

しかし基本的に筆者には野郎への興味はないので、可憐な堀北真希ちゃんの話に戻って、彼女が出演した「ALWAYS 三丁目の夕日」について語ろう。漸く本題だ。

「ALWAYS 三丁目の夕日」は文句なしに傑作である。評価はB+。なんでAにしないのかと言えば筆者は基本的に「寅さん」シリーズみたいな人情話が嫌いだからである。しかし、そんな人間にも有無を言わさぬ説得力、魅力がこの映画には詰まっている。文句なしにと言いながら一言だけ苦言を呈するなら、これ、原作の漫画はシンプルに「三丁目の夕日」なんだよね。誰がALWAYSをくっつけたの??あのスピルバーグの大駄作「オールウェイズ」を想い出しちゃうじゃないか。あ〜気分悪い。

この映画の堀北真希は素晴らしい。きらきら輝いている。青森から集団就職で上京してきた素朴な娘役をほっぺを真っ赤に染めて好演している。あと出色なのは堤真一。今年は映画「姑獲鳥の夏」「ローレライ」「フライ、ダディ、フライ」など堤の当たり年だったが、彼の演技力が最も際立っていたのはこの「三丁目の夕日」であろう。良い役者だなぁと改めて惚れ惚れと観た。余談だが堤は劇団☆新幹線の「吉原御免状」に客演し、これまた名演技、名舞台であった。

山崎貴監督の前作「リターナー」は日本映画にしてはCGの特撮を頑張ってはいたが、脚本がスカスカで、物語とVFX(特撮)が有機的に結びついているとは到底想えなかった。「リターナー」はあくまで主役がVFXだったが、一転「三丁目の夕日」では物語が主役でありVFXは裏方に回って人間ドラマに奉仕する役割を果たしている。ここに山崎監督の作家としての成熟を感じた。

「ジュブナイル」「リターナー」でも山崎監督と組んだエグゼクティブプロデューサーの阿部秀司は昭和の時代を描く映画を撮ることに当初難色を示していた山崎監督に「ジェームズ・キャメロンだって『ターミネータ2』の後に『タイタニック』を撮ったじゃないか。お前も未来ばっかりに目を向けずに一度過去に戻ってみろよ」と説得したそうだ。けだし名言である。

洗練されたCGの技術によって鮮やかに昭和33年という時代が再現されている。特に建設中の東京タワーの造形は見事と言うほかない。ただ残念だったのは街中を走る市電の中の乗客が微動だにせず、明らかにCGだとバレバレだったということくらいか。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]