エンターテイメント日誌

2005年11月19日(土) 来年のアカデミー賞長編アニメーション部門の行方

来年のアカデミー賞で長編アニメーション部門を競うのはクレイ(粘土)アニメーション「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」と人形アニメーションであるティム・バートンの「コープス・ブライド」の一騎打ちとなるであろう。「ハウルの動く城」もノミネートされる可能性は高いが、「千と千尋の神隠し」で既に受賞しているだけに、今回は難しいだろう。宮崎駿さんが、いかに世界のアニメーターから尊敬され、神と崇められているとはいえ外国映画であるというのも実に不利な条件だ。

「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」の公式サイトはこちら。既に来年3/18に日本での公開が決まっているが、これはアカデミー賞授賞式の直後であり配給会社も受賞に自信満々、オスカー効果を狙っているということだ。恐れ入った。

しかし、筆者としてはティム・バートンの「コープス・ブライド」を応援したい。「ウォレスとグルミット」が大傑作シリーズであることは十分理解している。しかしシリーズ第2作「ペンギンに気をつけろ!」と第3作の「ウォレスとグルミット、危機一髪!」で2度もアカデミー賞短編アニメーション部門を受賞し、第1作「チーズ・ホリデー」でもアカデミー賞にノミネートされるという輝かしい栄誉を既に受けているのだし、もう十分だろう。今回は遠慮してくれ。頼む。

無冠の帝王ティム・バートンは、今後も「チャーリーとチョコレート工場」のような、へんてこりんな大傑作を撮り続けるだろうし、是非そうあって欲しいと筆者も希う。だから実写の方でオスカーを獲る可能性は皆無に等しい。今回こそが滅多にないチャンスである。ついでに音楽のダニー・エルフマンにも頑張って欲しい。しかし、もっとも強力なライバルである「SAYURI」の音楽を担当したジョン・ウイリアムズが相当力を入れているようだ。ソリストに「シンドラーのリスト」「HERO英雄」のイツァーク・パールマン(バイオリン)と「セブン・イヤーズ・イン・チベット」「グリーン・デスティニー」のヨーヨー・マ(チェロ)のふたりをもって来るという離れ業を実現した。ジョンは今回本気だ。ダニー・エルフマン危機一髪!

さて、ティム・バートンの「コープス・ブライド」の評価はB+である。バートンの怪奇趣味が上手く醸し出され、エンターテイメントしても極上の仕上がりである。バートンの処女作「ヴィンセント」の姉妹編みたいな内容になっているのも愉しい。しかし、正直に告白するなら筆者は人形アニメーションとしてまだ技術的に劣っていた「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」の方が好きである。ついでに言うと、ダニー・エルフマンの音楽も「コープス・ブライド」より「ナイトメア」の方が印象的であった。「ナイトメア」が公開された1993年当時は未だアカデミー賞に長編アニメーション部門がなかったんだよね(短編はあった)。それが返す返すも惜しい。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]