エンターテイメント日誌

2005年11月05日(土) オダジョーのフェロモン攻撃と<メゾン・ド・ヒミコ>

映画「メゾン・ド・ヒミコ」の人気が凄まじい。月初め1日の映画の日に大阪の梅田ガーデンシネマに観に往ったら、映画館に上映時間の1時間45分前に到着したのに「立ち見です」と言われ、その日はすごすごと引き下がった。チケット窓口のお兄さんの話では上映4時間前の時点で既に満席になったそうだ。

後日万全を期して夜の上映にもかかわらず早朝映画館に駆けつけ整理券番号1番をゲット。その足で長距離バスに乗り、有馬温泉でゆっくりとくつろいだ。夕方梅田に戻って夕食をとり、映画の臨んだ。勿論その日も大入り満員で立ち見も30人以上いた。これだけ超人気なのに大阪府内で単館上映というのはいくらなんでも酷すぎないか?

観客のうち男性客は100人中5人くらい。もう女性たちはオダギリジョーが放出するフェロモンにメロメロだった。スクリーンに映し出されるオダジョーを見つめる彼女たちの熱視線にこちらまで火傷しそうだった。

小説「むかしのはなし」で直木賞候補になった作家の三浦しをんは、「メゾン・ド・ヒミコ」におけるオダギリジョーの魅力について「シャツがイン!」なところが素敵だとしをんのしおりの中で語っている。「シャツがイン!」とは、通常男性のファッションでシャツをズボンの中に入れるのは実に美的センスに欠けて駄目な行為なのだが、オダギリジョーはそれがきまっていて凄いという訳だ。映画上映終了後、ロビーで女性たちが口々に「シャツが・・・シャツが・・・」と譫言を言いながらよろめいていたのが可笑しかった。

そんなフェロモン出しまくりのオダジョーに映画の中で対峙した少年が、内なる同性愛感情に目覚めるわけだが、まあそれもむべなるかなと実に説得力があった。残念ながら筆者にはその気はないので、オダジョーのフェロモン攻撃にも動じなかったのだが、むしろこの映画で感心したのは柴崎コウである。

実は今まで彼女の魅力についていまいち分からなかったのだが、「メゾン・ド・ヒミコ」を観て初めてふて腐れたような彼女が可愛いと想った。柴崎コウという女優は、例えば「世界の中心で、愛をさけぶ」のようなおとなしい、普通の女の子を演じると全く生彩を欠くが、「メゾン・ド・ヒミコ」では挫折感を抱え、人生に拗ね、自分を捨てた父親を恨んで睨み付けるような役どころで、こういう屈折した役を演じると俄然輝くのである。あまりの変貌ぶりに唖然とした。やっぱり役者というものは役を選ばなくちゃいけないなぁとつくづく感じた。

映画の出来も良い。評価はBを進呈する。「タッチ」でトホホな出来だった犬童一心監督はここではまるで別人のようだ。これは脚本の渡辺あや(「ジョゼと虎と魚たち」)の力に因るところが大きいのだろう。ドヴォルザーク作曲の「母が教えたまいし歌」が効果的に使われて実に印象的だった。

余談だがオダギリジョーの本名って小田切譲だって知ってた?そのまんま!格好良すぎ。出身は岡山県津山市らしい。B'zの稲葉浩志も津山出身。津山って美男子の産地なのか!?


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]