エンターテイメント日誌

2005年01月08日(土) キネマ旬報ベストテンに想う

映画誌「キネマ旬報」が恒例の2004年ベストテンを発表した。結果は以下の通り。

【日本映画】
(1)誰も知らない(2)血と骨(3)下妻物語(4)父と暮せば
(5)隠し剣 鬼の爪(6)理由(7)スウィングガールズ
(8)ニワトリはハダシだ(9)チルソクの夏(10)透光の樹

 【外国映画】
(1)ミスティック・リバー(2)殺人の追憶(3)父、帰る
(4)オアシス(5)ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
(6)オールド・ボーイ(7)モーターサイクル・ダイアリーズ
(8)シービスケット(9)春夏秋冬そして春(10)ビッグ・フィッシュ

青字にしたのが未見の作品である。ここ数年のキネ旬ベストテンは納得のいかない結果が多かった。しかし、今年は久しぶりに妥当な作品が並んでいるという印象だ。但し1位を除いて。

「誰も知らない」も「ミスティック・リバー」も作家の個性が良く出た、人に訴える力を持つ作品であることを認めるのにやぶさかではない。しかし、僕の好みじゃない、そういうことだ。何処が気に入らないかについてはそれぞれ8/29と1/18日誌に書いてあるから興味のある方はご覧あれ。

宮崎アニメがベストテンに入選しなかったのは「風の谷のナウシカ」以降、「ハウルの動く城」が初めてだろう。まあ、あの内容だったら仕方ないかという気もするが、少なくとも日本SF大賞に輝いた押井守の「イノセンス」とピクサーの「Mr.インクレディブル」については入選しても当然の出来映えだったと想う。

外国映画では10作品中韓国映画が実に4本占めることとなった。今、韓国映画は全盛期を迎え、その熱気は空前絶後である。ちょうど黒澤明、溝口健二、小津安二郎、成瀬巳喜男、木下恵介監督らが円熟期を迎え、傑作を量産した1950年代の日本映画の状況に酷似している。恐るべし、韓流。

お待ちかね、筆者の選ぶ2004年映画ベスト選は次回のお楽しみ。最後に、まだ書いていなかった映画のレビューを簡潔にお届けしよう。

「モーターサイクル・ダイアリーズ」評価:B
出色のロード・ムービー。青春映画としても極めて質の高い作品に仕上がっているのだが、惜しむらくは主人公が目的地であるアマゾン川に隣接して作られたハンセン氏病の療養所にたどり着いてからがいささかもたつく印象を受ける。旅こそがこの映画の魂なのだから療養所の場面はもう少し簡潔にしても良かったのではなかろうか?それにしても「セントラル・ステーション」でも感じたのだが、ウォルター・サレス監督作品は人々の顔のアップを積み重ねるモンタージュ演出が実に印象的である。彼がハリウッドで演出する、「仄暗い水の底から」のリメイク 「DARK WATER」も実に待ち遠しい。予告編はこちら


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]