エンターテイメント日誌

2004年02月06日(金) 身体障害者映画。

身体障害者を描く方法は三通りある。

1.体が不自由な人は気の毒だから思いやって援助してあげましょう、優しくしてあげましょうというボランティア精神旺盛な描き方。本人は無自覚なのだが別の角度から眺めると高みから身障者を見下していて偽善に満ちた態度。
2.体が不自由で逆境に立たされているからこそ、彼らの魂は純真で善意に満ちており、まるで天使のような存在である!と身障者を神聖視する野島伸司(脚本家)的あざとさ丸出しの手法。まあ、そんな訳あるはずないんであって失笑を禁じ得ない馬鹿げたパターン。
3.身障者も健常者と変わりないふつうの人間であると等身大で描く手法。

昨年度のキネマ旬報ベストテンで4位にランクされた「ジョゼと虎と魚たち」は第3のパターンで、そういう意味では非常に好感を覚えた。ひねくれもので我が侭、それでいて結構傷つきやすいというヒロイン、ジョゼを池脇千鶴が文字通り体当たりの熱演をしている。いやはやお見事。しかしながら千鶴ちゃんが初めてヌードになるというのもこの映画の一つの売りなのだが、どうもその場面が痛々しくて余り必然性が感じられなかった。


(以下映画の内容に触れており、ネタバレがあります)


また、主人公の大学生の元彼女として第1のパターンの女の子を登場させ、「大学を卒業したらボランティア関係の仕事がしたい!」とかノーテンキなことを言いながら(勿論そんな職種には就かないのだが)、ジョゼに対しては無神経な言動を繰り返す場面とか、結局主人公とジョゼが付き合ってみたものの上手くいかなくなって別れてしまうまでは非常にリアルな恋愛映画として面白く観ていたのだが、僕がどうしても許せなかったのは最後に主人公がその偽善者を絵に描いたような元彼女とくっついてしまうことである!おいおい、そんなのありかよ!?妻夫木聡、お前って最低の野郎だなと怒り心頭で映画館を後にしたのでした。おしまい。評価:C-


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]