エンターテイメント日誌

2003年11月26日(水) 何故駄目なのか?<ハッピーMAX>

他愛もないサクセス・ストーリーなのだが何とも心がウキウキする愛すべき小品。何時も前向きな考え方のヒロインを想わず応援したくなる映画である。若い女の子達に絶大な支持があるのも納得がいく。たまにはこういう映画も良い。兎に角リーズ・ウィザースプーンの魅力に尽きる。何ともその表情豊かな笑顔がとってもキュートなのである。彼女が身に着けるファッションも文句なくお洒落。

以上が前作「キューティ・ブロンド」について以前、筆者の書いた好意的レビューである。これは2002年度のベスト20にも選出した(邦画・洋画を併せたランキング)。お気に入りの作品なのでDVDも購入している。しかし、今回の続編「ハッピーMAX」はひどい出来だった。最悪!産業廃棄物以下の代物。

一応フランク・キャプラの名作、「スミス都に行く」Mr.Smith Goes To Washingtonを下敷きにしているのだが、もう一緒にしないでもらいたいという心境。あの映画には、今は既に失われて久しいアメリカン・デモクラシーの気高い理想と、信じる道を進む者の矜持(きょうじ)があった。しかし「ハッピーMAX」にはそんなものは一欠片もない。ヒロインがワシントンに行く理由が<愛犬ブルーザーのママを化粧品の動物実験から救うこと>なんだから噴飯ものである。脚本家チームはもうちょっとましな理由付けは思いつかなかったのか!?ブルーザーのママは別に動物実験で殺されるわけではない。これを<動物虐待>というのなら、ペットに無理矢理衣装を着せて、美容院に連れて行ったり首輪をつけてあちらこちら引きずり回すのは<虐待>ではないのか??この時点でヒロインは完全な自己矛盾を来しており全く共感できない。牛肉を貪り食いながら「捕鯨は残酷だから禁止しろ。」と声高に主張する毛唐 欧米人どもと同レベルの性根の卑しさである。動物実験を法律で規制するのは大いに結構。しかし、この映画のヒロインに対しては「お前が言うな!同じ穴の狢(むじな)じゃないか。」とひとこと釘を刺しておく。

これほど一作目と二作目の出来に激しい落差がある例も珍しいのではないか?その敗因は一作目と二作目では脚本家チームと監督が総入れ替えになってしまったことにあると推定する。一作目ではしっかりした原作付きだったのに、今回は映画のオリジナル・シナリオでキャラクターを引き継いだだけというのもあるだろう。「キューティ・ブロンド」が大好きで「ハッピーMAX」は未見の人に警告する。これはシリーズものではなく、全くの別物と理解した方が良い。

また、リーズ・ウィザースプーンも今回はこれっぽっちも魅力を感じなかった。一見可愛らしい衣装を身につけていても、今回はただ周囲から浮いしまっているだけ。単なる<勘違いちゃん><不思議ちゃん>に成り果ててしまっている。容色も衰えてピンクの衣装が似合わない。彼女の旬がこんなにも早く終焉を迎えるとは想像だにしていなかった。諸行無常の響きあり...さようなら、リーズ。君は素敵だったよ、昔は。

「ハッピーMAX」に存在意義があるとしたら、<この映画を褒める輩のレビューは、決して今後一切信用するな>という教訓を残してくれたことに尽きる気がする。

というわけで、今年のワースト・ワンは文句なしに「戦場のピアニスト」に決定!・・・・あれっ?


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]