エンターテイメント日誌

2003年11月01日(土) 沖縄映画。

沖縄の粟国島を舞台にした映画「ナビィの恋」(中江裕司脚本・監督)は風土色に満ちて、味のある良い映画だった。嗚呼、沖縄という土地に拘って映画を撮っている作家もいるんだなぁ、と深い感銘を受けた。中江監督は京都生まれ。たまたま1980年に琉球大学農学部に入学して沖縄が気に入り、以降23年間棲み続けているという。詳細はこちらをクリック。

「ナビィの恋」を特徴づけるのはその音楽である。出演もしている登川誠仁(琉球民謡協会名誉会長)の唄う島唄を筆頭に、なんとあの「ピアノ・レッスン」のマイケル・ナイマンまで曲を提供しているのだから豊饒なことこの上ない。ナイマンが参加することになった経緯はここに詳しい。

中江監督の最新作「ホテル・ハイビスカス」は燦々と陽光が降り注ぐような、心がぽかぽか暖まる傑作である。NHK連続テレビ小説「ちゅらさん」で全国的な人気者になった平良とみ(沖縄県指定無形文化財琉球歌劇保持者)や登川誠仁ら「ナビィの恋」出演組も沢山参加していて愉しい。主人公の美恵子を演じる蔵下穂波は太陽のように明るく、元気印の女の子で素晴らしい。決して演技が巧いわけではないけれど、そのひたむきさ、猪突猛進ぶりが微笑ましい。

原作は漫画だそうだが、生きている人々と死者、それに精霊(スピリット)が自然に同居しているような摩訶不思議な空間を醸し出していてとても印象深かった。必見。

なお、この映画を製作した佐々木史朗氏はTBS勤務を経て、ATG(日本アートシアターギルド)社長となり、「ヒポクラテスたち」「ガキ帝国」「遠雷」「転校生」「家族ゲーム」「廃市」などの数々の名作を製作、ATG倒産後はオフィス・シロウズを設立し「ナビィの恋」「笑う蛙」「ごめん」など精力的に映画を作り続けている独立映画系の大プロデューサーである。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]