エンターテイメント日誌

2002年12月15日(日) フィルムかデジタルか?

「スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃」DVDを購入した。そしてそのとてつもない高画質に息を呑んだ。これは映画館で(三回)観たフィルムのクオリティを遥かに凌駕している。衣装の細かい模様や、人物の背景などが恐ろしく鮮明に描出されているのである。暗闇での撮影においても、DVDではフィルムのように輪郭が不鮮明になることがない。ちなみに視聴したのはわが家の32型ハイビジョン・テレビ(ソニー)である。

この高画質の秘密は間違いなく、ジョージ・ルーカスがソニーに依頼して特別に開発されたデジタル・ハイビジョン・カメラがエピソード2から採用され、撮影が行われたからに違いない。つまり撮影時に一切フィルムが用いられていないのである。だからDVD化に際し、digital to digitalで情報がやり取りされるので画質の劣化が皆無なのである。

DVDの高画質に心底驚かされた初めてのソフトはピクサー社のCGアニメーション「バグズ・ライフ」であった。これはその後発売された「トイ・ストーリー」シリーズも同様なのだが、フルCG作品ということでフィルムを介さずにコンピューターから直接DVDを製作している為に、その超高画質が実現したのである。しかしまさか実写でそのレベルに到達する作品が登場しようとは夢にも想像だにしなかった。常に時代の最先端を走るルーカスおよび、その配下の特撮工房ILMの意気込みと成果にただただ頭が下がるのみである。

このようにフィルムレスで撮影された映画は、当然映画館でもフィルムに焼き付けず、直接デジタル上映されたほうがより原版に近い鮮明な映像で観ることが出来る。これは「DLPシネマ」(←クリック!)と呼ばれ、日本でもエピソード2は全国10ヶ所でDLP方式で上映された。実はDLP版では編集も異なり、フィルム版にない場面があった。例えば映画のラストでアミダラとアナキンの義手が手を繋ぐショットである。これらは勿論、今回のDVDに収録されているので、フィルム版しかご覧になっていない方はDVD版も必見である。

残念なことだが遂に一世紀の栄光を保ち続けていたフィルムはいま、デジタル映像のクオリティの前に完全に敗北した。映画の撮影機材および映画館からフィルムが消え、ハイビジョン・カメラによる撮影とデジタル上映が主流になる時代を迎えるのはそう遠くはないだろう。

ところが一方、非常に興味深いのはルーカスの朋友であるスティーブン・スピルバーグ監督が将来デジタル撮影に踏み切るかと記者に問われ、「僕は最後までフィルムにこだわって撮り続けるだろう。」と答えていることである。スピルバーグは今でも8mm少年の心を持ち続けており、真のフィルム・メーカーなのだ。ここにふたりの資質の違いが伺われる。

それにしても、現在企画が進行中のルーカス製作総指揮、スピルバーグ監督による「インディー・ジョーンズ4」はどうなるのであろう?フィルムで撮られるのか、はたまたデジタル撮影になるのか?どちらの意向が尊重されるのか、今後の動向が注目される。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]