エンターテイメント日誌

2002年11月06日(水) 映画と旅〜「なごり雪」の古里、臼杵へ<予告編>

想えば僕は、映画とともに沢山の旅をしてきた。

吉田喜重監督「秋津温泉」が撮られた岡山県奥津、成瀬巳喜男監督「乱れ雲」の撮られた青森県の蔦温泉や十和田湖。最近の作品では「がんばっていきまっしょい」の愛媛県松山市、今治市、東予市を訪ねた。また宮崎駿監督が「もののけ姫」の製作にあたり、ジブリの作画スタッフとともにロケハンを行った屋久島(鹿児島県)や白神山地(秋田県)へも往った。屋久島は成瀬巳喜男監督の名作「浮雲」の舞台にもなっている。

海外に目を向けると「ローマの休日」でオードリーがアイスクリームを食べたスペイン広場の階段を歩き、<真実の口>に手を差し入れることも勿論した。さらに「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台となったオーストリアのザルツブルク、「第三の男」のウィーン、「アマデウス」のプラハ、ヴィスコンティの「ルードウィヒ 神々の黄昏」のノイシュバンシュタイン城(ドイツ、フッセン)へも足を運んだ。このお城はディズニーのシンデレラ城のモデルになったことでも知られている。NYではキングコングや「めぐり逢えたら」のメグ・ライアン、トム・ハンクスも登ったエンパイヤ・ステート・ビルの屋上までエレベーターで往復した。

しかし、何といっても僕にとって映画と旅が密接に結びついているのは大林宣彦監督作品だろう。尾道は言うに及ばず、「廃市」の福岡県柳川、「青春デンデケデケデケ」の香川県観音寺、「はるか、ノスタルジイ」の北海道小樽、究極は「天国にいちばん近い島」ことニューカレドニアのウベア島まで遠征した。高校一年生の夏、大林映画「転校生」に出会ってもう既に20年経つ。その蓄積された時空こそ、はるかなる旅といえるだろう。

そして大林監督の最新作は大分県臼杵市で撮られた「なごり雪」である。わざわざ映画の冒頭に<臼杵映画>と銘打っているくらいである。これはファンとしては臼杵を訪れるしかあるまい。時期を念入りに検討した結果11月2-3日と定めた。なぜならば<臼杵竹宵>がこのとき開催されるからである。

<臼杵竹宵>は映画「なごり雪」でも登場する幻想的で美しいお祭りで、一万本の竹ぼんぼりに照らされ浮かび上がる竹の光のオブジェの中、笛や笙の雅楽の演奏とともに般若姫の行列が街を練り歩く。般若姫とは臼杵石仏を彫った真明長者の美しい一人娘で、帝に嫁ぐ旅路の途中で命を落としてしまう。悲しんだ両親の元に年に一度会いに来る般若姫を、里の人々が竹に灯り火を灯してお迎えしたという伝説に基づくお祭りでなのである。今年その般若姫役に選ばれたのが映画「なごり雪」のヒロイン、須藤温子さんで、是非臼杵の町に恩返しがしたいという本人の強い希望で実現したのだそうだ。この機会をみすみす見逃す手は無いだろう。


 < 過去の日誌  総目次  未来 >


↑エンピツ投票ボタン
押せばコメントの続きが読めます

My追加
雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]