エンターテイメント日誌

2002年09月14日(土) SF映画二題。<バイオハザード><リターナー>

<バイオハザード> 

有名なTVゲームの映画化である。この類いの作品は「トゥームレーダー」など今まで幾つかあったが、今回がいちばん出来が良いとの専らの評判。日本でも興行成績ランキングでトップに躍り出た。

悪趣味な映画である。品などない。ホラーとしての驚かせ方がハッタリというか、こけおどしに終始。まあそれもロメロの「ゾンビ」へのオマージュということを考えれば致し方ないことか。ただ、監督のゲームに対する思い入れが十分伝わってくるし演出の切れも悪くない。上映時間も1時間40分程度とコンパクトな仕上がりで途中飽きさせることがない。

また、ミラ・ジョボビッチがカッコいいし、全く必然性なく過度にセクシーで(笑)、サービス精神がおう盛なのもよろしい。肩の力を抜いてお気楽な気持ちで観れば腹が立つこともないだろう。佳作。

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<リターナー>
 
まあプロットが「ターミネーター」そのままで、「レオン」風味をタップリと振りかけたのはよろしかろう。巷でかしましい<過去のいろいろな映画のパクリ>とは敢えて申しますまい。ただ、恐らく企画の段階では<和製マトリックス>をという志でプロジェクトが動き出したのであろうということは想像に難くない。しかしどうもこの監督はファンタジー嗜好が強くて、どうしてもそっちの方へそっちの方へとベクトルが向こうとするのが映画のバランスを崩し、齟齬を来たしているのが非常に気になった。

終盤の主人公とヒロインの別れの場面は大林宣彦監督の「異人たちとの夏」を彷彿とさせた。それに大体こういうSFアクション映画(であるべき筈の作品)に'E.T.'もどきを登場させて「お家に帰りたい」と言わしめる必然性が何処にあるの??こんな詰まらない脇道に入り込まなくても、十分ハードボイルドな物語として成立する筈である。山崎貴監督は下手に自分でシナリオを書こうなどという色気を捨て、潔くプロのライターに委ねるという勇気を持つべきである。

…とまあ、悪口を言ってはみたが、サニー千葉(別名、千葉真一)の「宇宙からのメッセージ」とか、アメリカかぶれの原田真人監督が意味もなく全編英語で撮った「ガンヘッド」とか、大林監督の「漂流教室」とかショボイ和製SF映画を見さされる度に失望して溜め息をつき続けていた身としては、今回の映画は「よくぞここまで頑張ったなぁ。」と労いの言葉を掛けたくなるレベルに達していたことだけは評価したい。少なくとも映画を観ている途中で、退屈の余り席を立ちたくなる衝動には駆られなかったのだから。まあ逆に言えばその程度の出来でしかない作品ということだ。

役者陣の中で鈴木杏がずば抜けた好演。TVドラマ「青い鳥」に出演していた頃から名子役として光っていたが、彼女は魅力に富む大人の女優に成長しそうで今から頼もしい。ただ太り過ぎには気をつけてね。

CGの登場のおかげで、余り予算がなくてもハリウッド映画に拮抗出来る特撮映画が日本でも製作出来る可能性が生まれてきたことは素直に喜びたい。若い日本のフィルム・メーカーたちよ、大志を抱け!


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]