エンターテイメント日誌

2002年02月04日(月) <仄暗い水の底から>と日本映画の世界進出

和製ホラー映画の傑作「リング」はハリウッドのプロデューサーの目にも止まり、ドリームワークスの手でリメイクされ、目出度くこの8月に日米同時公開が決まった。その同じ鈴木光司原作、中田秀夫監督による新作「仄暗い水の底から」はベルリン国際映画祭パノラマ部門出品が決まった上に、再映画化権をディズニー傘下のブエナビスタが既に獲得済みという。ウ〜ン、抜け目のないハリウッドと言うべきか、この場合は両映画を製作した角川書店の辣腕を評価すべきだろう。しかし、さすがに出来の悪い「らせん」や「リング2」「バースデイ」の版権は売れなかったんだね(^^;。

確かに「仄暗い水の底から」はホラー映画として傑出した出来である。特にそのくらいマックスは感動的ですらある。中田演出は水の扱い方が上手い。水というのは映像に良く映えるということを熟知している。ただ惜しむらくは同じ中田秀夫監督の「女優霊」や「リング」に比べるとその恐怖度がややトーン・ダウンしていることと、霊が現れる動機が「リング」の貞子の設定と似通いすぎていることだろうか。このあたり、「女優霊」「リング」で名コンビを組んだ脚本家、高橋洋の名前が今回無いというのが非常に痛かった。高橋洋・中田秀夫あるいは平成ガメラシリーズの伊藤和典・金子修介など一世を風靡した傑作群を次々と世に送り出した脚本・監督コンビが、様々な軋轢により袂を分かつ姿を見るのは辛く哀しい。これは日本映画界にとっても大きな損失である。

しかしまあ、「仄暗い水の底から」は確かに面白かったのだけれど、余計だったのは物語から10年後のエピローグである。これは要らなかったんじゃないかな?本編の子役・菅野莉央の演技が見事だっただけに、彼女の10年後を演じた「第3回 ミス東京ウォーカー」水川あさみが酷すぎた。ハッキリ言って可愛くないし(^^;。そのギャップに思わず目眩がした。「ミス東京ウォーカー」だから角川書店のごり押しで中田監督も泣く泣く使わざるを得なかったのだろう(笑)。ご愁傷様。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]