エンターテイメント日誌

2001年12月04日(火) ハリポタ旋風と松竹の逆襲

映画「ハリー・ポッターと賢者の石」(通称ハリポタ)が歴代の興行記録を塗り替えながらヒット街道を驀進中である。飛ぶ鳥を落とす勢いとはこのことを言うのだろう。この猛烈な人気で配給をしている松竹の株価もうなぎ上りだとか。社員の鼻息も荒いだろう。

松竹は気の毒な会社である。自社製作の映画が長年の低迷。ドル箱だった「寅さん」シリーズも渥美清の突然の死去で打ち切りを余儀なくされた。大船撮影所も閉鎖された。それに追い討ちをかけたのが「ホーホケキョ となりの山田君」配給である。スタジオジブリの作品だったら絶対に当たる!という過信が致命傷になった。実は世間から絶大なる信頼感があり、着実ななヒットを飛ばしてきたのはジブリ作品ではなく、宮崎駿監督作品だったのである。同じジブリ作品でも宮崎アニメと高畑勲監督作品では全く質が異なる。高畑作品「となりの山田君」にしたところで、宮崎さんご自身が「何でこんな題材をアニメにしたがるのか僕にはさっぱり理解できない。」と公言して憚らなかった。そこに大いなる松竹の誤算があった。結局「となりの山田君」は制作費の約半分しか資金を回収できないという体たらく。「となりの山田君」の前後にジブリが製作した「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」は空前の大ヒットになったのに、それを配給したのは東宝だったのである。松竹は貧乏くじ(=高畑作品)を引かされたのだ。確かにその原因は会社自身がマーケティングの的確な分析能力と先見性に欠けていたことにあり、自業自得ではあるのだが。ちなみに筆者も宮崎さんには私淑しているが高畑アニメは大嫌いである。いつも「そんなちんけな物語は実写ですればいいじゃないか。アニメーションでリアリズムを追及してどうする。」と想ってしまうのだ。

「ハリー・ポッター」のヒットは既に「タイタニック」の記録を射程圏とし、「千と千尋の神隠し」の興行成績まで窺おうという位置にまで来ている。松竹の逆襲はこれから始まる。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]