エンターテイメント日誌

2000年10月10日(火) 日本産ミステリイ映画

今、日本のミステリイ小説のレベルは凄い。世界的にもトップクラスなのでは?

「ホワイトアウト」は原作の方が断然面白かった。緻密なプロット、硬質な文章が素晴らしい。映画版は・・・。とにかく、演出をテレビのディレクターに任せたのが失敗の最大の原因だ。バスト・ショット、クローズ・アップが多用され、映画的スケール感、迫力に欠ける。脚色を原作者が担当しているが、どうも疑問が残る出来なのが残念。どうしてテロリストのボスが車椅子に乗っている必然性があるのか?クライマックスのまるでターミネーターみたいな不死身ぶりも、殆どギャグでしかない。テロリストの中に裏切り者が潜んでいるという設定が全く活きていないし、人情を押しつけてくる地元の警察副署長の存在も鬱陶しかった。映画に失望した人には是非原作を読むことをお勧めする。

「破線のマリス」は非常に後味の悪い結末で嫌な映画であった。これも原作者で人気シナリオライターでもある野沢尚が脚本を書いているのだが、こんなプロットで江戸川乱歩賞を受賞したなんて信じられない!物語の発端となる事件が、結局解決されることなく脇に押しやられて、最後は本筋がマスコミ批判にすり替えられてしまうのだ。ヒロインにテープを送ってきた謎の人物が映画の最後に明かされるんだけれど、そんな筈あり得る訳ないでしょ!ご都合主義もいい加減にしてくれ。どうしてあの時間に、あのアングルで撮影できるの?編集はどうやったの?匿名で送りつける必然性は?もう疑問符だらけ。本当に腹立ったっ!


 < 過去の日誌  総目次  未来 >


↑エンピツ投票ボタン
押せばコメントの続きが読めます

My追加
雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]