そよ日暮らし の そよふぉとノート
もくじだよ|きのうへ|あしたへ


2005年03月25日(金)  【題詠マラソン2005】参加作品 28〜33 & [村本希理子さんの歌]





028:母

海神と母アザラシにえらばれてゆりかごとなる流氷がある



029:ならずもの

ポケットのなかの仔石はならずもの磨いてはだめ だめよどなたも



030:橋

夜をこめて橋を渡れば氷河期につながつていたものに繋がる



031:盗

雪水のうはずみ盗みたはむれにそつと含んで閉ぢるくちびる



032:乾電池

電動の感受性たれ乾電池ぬけばなんにも感じなくなる



033:魚

わたくしのなかにも一尾回遊魚 いつか いつしか 海に あるいは




以上、斉藤そよ作。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




以下は、題詠マラソン2005会場より、お借りしてきた短歌です。

今回は、すでに完走されている村本希理子さんの特集(?)です。

村本希理子さんは、昨年に引き続き、今回のマラソンでも、
全ての投稿歌に目を通されていて(たぶん)、
そして毎日、いくつもの歌に感想をつけてくださっています。

昨年わたしは、右も左もわからないままに参加させていただき、
それでも楽しく完走することができたのは、
村本さんはじめ何名かの方が、拙作に感想をつけてくださったおかげでした。

とても感謝しているのです。(たぶんきっとほかの多くのみなさんも)

なので、特集なのです。

看板↓もつくりました(^^ゞ








迷鳥のやうにあやふい頼りなさ とりあへず引くラインマーカー

村本希理子さん作(041:迷)/photo by soyo






001:声   声域の広がらなかつた夏休みVANのシャツ買ふ少女横目に

002:色   ソックスは薄桃色のかをり持つソックタッチで糊づけせねば


この 「VANのシャツ」と「ソックタッチ」のお歌からはじまる村本さんの100首には、
このあと次々に懐かしいアイテムが登場します。
「シャーペンは0.3ミリ」 「ジェフ・ベック」 「マリー・クワント」
「ラインマーカー」 「ランチジャー」 「紅茶キノコ」
「ソ連製薔薇のジャム」! ・・・・書ききれませんが、並べて読むと圧巻です。

そして、終わりは、


100:マラソン   東京女子マラソンがほら始まるよ。女は無理つて言つたのだあれ


世界初の女子フルマラソンである「東京女子マラソン」は、
1979年の出来事ですよね。

こんなふうにして、
お題に添いつつ、ルールにのっとりながら描かれた、ひとつの時代。

背景はたぶん1970年代後半でしょぅ・・・
と、思いつつ読ませていただいていましたが、
東京女子マラソン(1979年)で締めくくるなんて! と、
そのスタイルの完成度の高さに感嘆しました。

*

100首全体を通して、この時代を生きた作者の
当時の輪郭が浮きあがってみえてきて、とても親しく感じられ、
うれしいきもちになりました。

(短歌作品に感想を述べる時、こんな場合は、�犧鄰羲臑劉瓩�
 呼ぶべきらしいことは学習したのですが、
 不慣れなわたしは、どうしても、この100作については特に、
�犧郤圻瓩噺討个擦討い燭世�たくて・・・・すみません。)



*

078:携帯   朝なさな携帯して来し筆ペンに影深めゆく教科書の余白

「朝なさな」 この言葉の美しさに酔いしれました。
あさなあさな(毎朝)という意味なのですね。
うっとりします。
あこがれます。




084:林   権威には距離を置く主義愛用の国語辞典は広辞林五版

一読して、音の流れに惹かれました。
「か行」の音のつらなりが、心地よくて、大好きでした。




086:占   とりあへず流行つてゐるから行つただけ「かっぱ横丁占いセンター」

092:届   ラジオより片岡義男の声届く 軽さ明るさ妙に遠くて

099:動   二度三度マウスペットを吹きかけてわたしのなかの動物 消した

これは、そのころのわたし自身とかさなって、どきっとしました。




098:未来   ゆつくりと未来が落ちてゆくみたいパタパタ時計の零しゆく今

パタパタ時計が流行り始めた頃、わたしも枕元においていました。
眠れない夜、あのパタパタという音が気になって気になって、
そう、ほんとうに「未来が落ちてゆくみたい」な不安にかられたものでした。



032:乾電池   応接間の柱時計に乾電池入りたるのちの母の快活

096:留守   母の留守知るや知らずや人工の光よろこぶセントポーリア


はげしく思い当たります。

こんなふうに、読む者が「あぁ。そうそう。その感じ!」っと、
思える短歌は素敵ですよね。
めざします(^^ゞ



101   百の歌のこしたあとにゆつくりとわたしの今へ吹きかへす風

これは、100首マラソンを走りおえたそのあとで、
村本さんが詠まれた101番目のお歌です。

こんなにも思いのこもった三十一文字。
とてもこころに響いてきました。

このお歌を詠むための
(わたしの今へと、風がふきかへすための)
そのための、100首だったのかもしれないと、
そんなことまで思ってしまうのでした。





とても勉強になりました。

ありがとうございました。






そよ |MAIL |HomePage

My追加