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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2006年01月02日(月) --

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『魔女』

いつの時代にも世界に偏在する魔女たちを通じて、人間たちの魂の 惑星への融合状況を、圧倒的なイメージで描きあげるオムニバス。

「スピンドル」は、イスタンブールを舞台に、力で世界を支配しようとする 西洋の魔女と、受容によって本質を導く東洋の魔女が対決する。 西洋の魔女が手に入れようと固執する市場の男性は、最初から彼女を受け入れない。 しかし幼い東洋の魔女が最後に言ったように、西洋の魔女ニコラの本当の敵は、 彼女自身の傲慢なのだ。

そして「クアルプ」(弔い)。 ジャングルに住む魔女クマリと、生きとし生けるものたちの末路。 文明社会という地獄に暮らす我々にとって、その声は何と儚く響くのだろう。 スピリットに満ち満ちた世界と、見えるものだけの世界。 「視る準備はできている?」という問いが、こだましつづける。

「ペトラ・ゲニタリクス」(生殖の石)、この魔女はカッコイイ。 化鳥のような目をしたミラ。病に冒された世界を救う、究極のヒロイン。 ミラは言う。

「遥か別の場所で生まれたコトバが、あなたを通して語られる事もある。」 (引用)

「うたぬすびと」は、元ちとせの唄が聞こえてきそうな物語。 主人公の高校生は魔女というわけではなさそうだが、 魔女っぽい女性、千足が輪廻の輪を回す役どころ。

五十嵐大介の絵は、アンバランスなほどの引力をもっていて、 無邪気さと狂気をみごとに溶かしてしまう。 他の作品は未読だが、他ではいったいどうなるのだろうと思う。

強力な物語を読み通してつくづくと感じるのは、 この惑星で女に生まれるということには、大いなる意味が あるのだろうなということ。 どんな生き方、どんな背景をもっていたとしても。 魔女であっても、そうでなくても。
(マーズ)


『魔女』第1集・第2集(漫画)著者:五十嵐大介 / 出版社:小学館IKKIコミックス2004-2005

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