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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2005年01月10日(月) --

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『ザ ステーショナリー』

金にふちどられた真っ赤な表紙のまんなかに、 白いクリップのマーク。

これは、銀座の文房具屋(彼らは「文具屋」とは言わない) 伊東屋のカタログであると同時に、歴史や文房具の蘊蓄を、 豊富な取材を交えて構成した愛蔵本である。

私が銀座の本店へアルバイトに通ったのは、 もう一昔以上前のことになった。 ページを開くと、当時のスタッフの顔も見える。

ついなつかしくて、昔書き留めていたノートを 出してきて読み返し、夜が更けてしまったりする。

この本にあるような、バリバリとノリのきいた文房具専門店の 姿もまた真実なのだが、私のノートのなかにある伊東屋は、 舞台の裏側での苦労や、あえて言ってしまえば、失敗の 積み重ねでもある。 もちろん、私の日記がわりのノートだから、主に失敗しているのは 右も左もわからない私であるが。 そして、ここには書けない数々のエピソード。

膨大な量の商品が地下から8階、さらに別館まで 埋め尽くしている伊東屋(銀座本店)という店は、 まるで文房具のよろず問い合わせセンターのようだった。 きっと今でもそうなのだろうけど、 一日中、ありとあらゆることの質問が矢のごとく 飛んで来るのだった。

いそがしくレジを打っているカウンターの列に 順番を無視した質問が飛ばないよう、フロアでお客さまの 質問を受けとめ、バリヤーのようにスタンバイしていた自分を 思い出す。 「お世話さま」「ありがとう」の言葉に、 どれだけ力を与えられたか。

伊東屋での一年間が、その後の自分の仕事やボランティア活動(笑)を すんなりと決定づけたという事実。 そんなことの縁をなつかしく思う。

完成度についてあえて言えば、 スタッフから聞き書きで起こした商品説明の文章は、 もう少し読みやすくしてほしいところもあった。 お店っぽくてこのままでもいいのかもしれないが。

当時の体験から私が今でも守っていることがいくつかある。 銀座の中央通りを「銀座通り」と呼ぶことも そのひとつである。 (マーズ)


『ザ ステーショナリー』 銀座・伊東屋100年物語 / 出版社:ピエ・ブックス2004

2003年01月10日(金) 『ハプスブルク家の食卓』
2002年01月10日(木) ☆本をどこで買いますか?(その1)
2001年01月10日(水) 『茨姫はたたかう』

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