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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2005年01月01日(土) --

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『悲しみにさようなら』

大人の女性のために、リンダが描く 母性とラブロマンスのハードな結合。

原題は「Cry No More」。 医者の夫が赴任していたメキシコで 赤ん坊のジャスティンをさらわれてから、 夫とも離婚し、悪夢の日々を過ごしてきたヒロイン、ミラ。

その後、本国アメリカで、「ファインダーズ」というボランティア団体を 組織し、行方不明の子どもたちを探すシンボルとなった。 誘拐から10年がたったある日、犯人の手がかりが現れる。

そして、彼も現れた。 極悪非道の殺し屋と恐れられる男、ディアス。 息子のジャスティンを決してあきらめることのないミラと、 危険な生活を日常としているディアスは、お互いに 惹かれてゆく。 強さと女性らしさが同居するミラのキャラクターには、 ディアスならずとも脱帽だろう。

リンダの新作は、甘さよりも苦さや悲しみに彩られ、 描かれる愛もハードタッチであった。 ヒロインのミラはもちろん、周囲の人物たちも、 それぞれに苦しみながら人生を歩んでいる。 周囲の人間に関しては、今までで初めて、リンダが 定説をくつがえしていることも本作の特徴といえる。 それが自ら招いた結果であっても、引き返せない運命に 身を投じて生きるのは、善悪どちらでも覚悟が要るものだ。

ディアスの風評があまりにも強烈だったせいか、 今までのロマンスとはちょっとちがうところもあるけれど、 ミラが肯定の判断を下すたびに、私たちも同意する。

「大丈夫、信じて進んで」と。

ディアスはミラに、 『風の強い日の煙みたいに捉えどころのない男』と 描写されていた。 それがどう変化してパートナーになるのか、 ハードな運命をともにしながら楽しんでほしい。 ミラの目から涙が消えるときまで。 (マーズ)


『悲しみにさようなら』 著者:リンダ・ハワード / 訳:加藤洋子 / 出版社:二見文庫2004

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