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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2003年05月14日(水) --

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『ゆうえんちのわたあめちゃん』

福武書店から出ているゴッデンの『四つの人形のお話』、 その第4巻。前に紹介した『元気なポケット人形』も このシリーズでは『ポケットのジェーン』として収録されている。

主人公の人形はわたあめちゃん。 原題の『Candy Floss』は、イギリス英語で綿飴のこと。

わたあめちゃんは、ジャックという青年の屋台に住んでいる。 屋台は、ロンドン各地のお祭りに出る移動遊園地を回っている。 「ココナッツあて」という名前のお店。 普通のココナッツあてとは、ちょっとちがう。 そこでは犬のココ、木馬のナッツ、そしてわたあめちゃんが 幸運のチャームとして、生きる場所を与えられているお店なのだ。

お話の前半は、ジャックと仲間達の暮らしぶりを細やかに描いている。 小さなせとものの人形とはいえ、わたあめちゃんは、 やさしいジャックのおかげで、面白いものを見たり、 ちょっとしたごちそうをもらったり、きれいな服を着せて もらったりと、何不自由なく過ごしていた。

わたあめちゃんやココ、ナッツたちのおかげでジャックの お店は繁盛し、ジャックのおかげで、わたあめちゃんたちも 居場所を得て暮らしていく、そんな環ができあがっている。 ある意味では何かが足りない環ではあるけれど、 少なくても、今のジャックにとって、この暮らしは ベストな選択なのだろう。

そして後半は、わがままなお金持ちの一人娘、 クレメンティナの登場によって、わたあめちゃんの幸福が一転。 クレメンティナもまた、わたあめちゃんと出会うことで 変化があらわれる。

一方的に世話されると、人間はどうしても わがままになってしまう。 手も足も出ないからだろうか。 子どもに限ったことではないのかもしれない。 誰かの心配をしたり、思うようにならない相手の気持ちを おしはかったりするうちに、 だんだん、クレモンティナのように、聞こえてくるのかもしれない。 自分がどうしたいかではなく、どうすべきか、 どうすれば人を幸せな気持ちにできるのかが。

「でも、そのうちきっと、きこえるわ」 わたあめちゃんはおもいました。 (/本文より)

(マーズ)


『ゆうえんちのわたあめちゃん』 著者:ルーマー・ゴッデン/ 本文挿絵:プルーデンス・ソワード / 表紙:ひらいたかこ / 訳:久慈美貴 / 出版社:福武書店(絶版)

2002年05月14日(火) 『風街物語 -完全版-』
2001年05月14日(月) 『おいしい時間のつくりかた』

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