HOME*お天気猫や > 夢の図書館本館 > 夢の図書館新館

夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2003年02月10日(月) --

TOP:夢の図書館新館全ての本

『ひかりの国のタッシンダ』

外の世界の害悪から毒の霧で守られた山上のファンタジーランド、 タトラン人の王国で起こる、少女タッシンダをめぐる物語。

その国の人々はみな白い髪、青い目をしているのに タッシンダは、ひとり、金の髪に琥珀の目。 それは、タッシンダが、誰も知らない外の世界に生まれたことを 意味するのだった。

やがて庇護者をなくしたひとりぼっちのタッシンダが、 この国でどうやって生きていけるのか、 まず私たちが心配なのはそのこと。 しかも、タッシンダにはタカタン王子という 身分ちがいのあこがれの人もいる。

そして一方に、平和な桃源郷を狙う金の亡者があらわれ、 タッシンダやタカタン王子も、生命と財産を守る戦いに巻き込まれる。 人より少しでも多くの黄金を所有することが最高とされる 醜い巨人、ガドブラン人の描写は、そのまま私たち人間への 絶望とも皮肉とも取れる。

しかし一方では、平和を自然にかたちづくって生きる タトラン人の世界への信頼も描かれる。 人の内側には、そのような世界もまたあるのだと、 作者のエンライトは物語を織りひろげる。 その平和な世界にすらも存在する、異分子への偏見も含めて。

この物語は、30年以上を経て、近年に復刊された。 巻末で訳者は、原作の文章力を賞賛している。 翻訳作業がとても楽しかったという訳文も魅力的だ。

タッシンダという名は、「タッチング」に似て、 人のこころをとかすのだろうか。 (マーズ)


『ひかりの国のタッシンダ』 著者:エリザベス・エンライト / 絵:アイリン・ハース / 訳:久保田輝男 / 出版社:フェリシモ出版

2001年02月10日(土) 『夏草の記憶』

>> 前の本蔵書一覧 (TOP Page)次の本 <<


ご感想をどうぞ。



Myエンピツ追加

管理者:お天気猫や
お天気猫や
夢図書[ブックトーク] メルマガ[Tea Rose Cafe] 季節[ハロウィーン] [クリスマス]

Copyright (C) otenkinekoya 1998-2006 All rights reserved.