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夢の図書館新館

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-- 2001年12月11日(火) --

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『ウッドストック行最終バス』

☆特集:『英国オヤジ刑事四人衆』その(2)

海外ミステリは人気のあるシリーズでも 書店店頭で全巻手に入れる事は至難の技です。 しかし『モース主任警部』シリーズは見事揃っている! なにしろイギリス本国視聴率No.1のTVドラマ原作、 BS放映記念のようです。見たいなあ。

モース主任警部が本国TVドラマで 大人気と聞いた時は正直びっくりしました。 ミステリマニアには妙な受け方をしたものの 一般的に楽しめるミステリという 系統ではないと思っていたのです。

主人公は警察官にもかかわらず、 いっこうに地道な捜査はせず死体も血も見られない ヒラメキに走る気まぐれ主任警部、 きっと作者は取材に出るより自宅や近所のお気に入り場所で 謎を作ったり解いたりするのが大好きな書斎派タイプなのでしょう。 かといって昔ながらの古典的名探偵ならば 全てのピースが揃ってからおもむろに謎を解くのに 警部の場合は次々仮説を立てては崩し立てては崩すパターン、 その仮説の大胆さが前代未聞。 デヴュー作『ウッドストック行最終バス』の ノース・オックスフォードの住人約一万人の中から 大雑把な計算で犯人を一人に絞ったり、 次作『キドリントンから消えた娘』で 折角自分が捜査するんだからただの失踪事件じゃなくて 殺人事件に違いない、と決め込む場面など ‥‥爆笑。 ギャグじゃないんですよ、真面目な推理の第一歩です。 一見いいかげんなようですが、カンに自信のある人は 「仮定」して行動したほうが地道に足元を固めるよりも はるかに効率が良いし確実なのです。

コリン・デクスターの文章は落ち着いた オックスフォード周辺をいかにも身近に感じさせ、 容疑者関係者無関係な人々、皆地に足の付いた感じで 犯罪捜査の話なのに読んでいてなかなか感じが良いです。 コージー派でも凝り性でもそれぞれに楽しめるあたりが TVドラマで人気が出た要素でしょうね。 モース主任警部も気分屋で理不尽な言動をするけれど 後で反省してぺこぺこ謝ってくれるし、 おなかは出かかって頭も薄いけど 読書好きで独身で結構チャーミング、 オヤジ刑事群に入れるのは可愛そうかなとも思いますが これで大酒飲みでスケベな、立派なオヤジであります。

原作は先頃シリーズ完結したそうですが、 終ってしまうのは淋しいので最後の方は まだ読んでいないのです。 (ナルシア)


『ウッドストック行最終バス』『キドリントンから消えた娘』
著者:コリン・デクスター / 出版社:ハヤカワ文庫

2000年12月11日(月) ☆ ムーミンとわたし

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