HOME*お天気猫や > 夢の図書館本館 > 夢の図書館新館

夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2001年08月22日(水) --

TOP:夢の図書館新館全ての本

『黒と茶の幻想』

『三月は深き紅の淵を』(講談社文庫)において予告された 未だ書かれざる伝説の本『三月は深き紅の淵を』 四部作の一編となる『黒と茶の幻想』、 季間雑誌に一年間連載されていたものが (一回休んだので一年以上)今回完結しました。

高校を卒業して20年、気のおけない仲間達 利枝子・彰彦・蒔生・節子の四人が 屋久島旅行を楽しみます。 旅のお伴はそれぞれが心にかけていた ちょっとした不思議や大きなクエスチョンや お互いの過去における秘密。 謎の美少女・憂里の暗い影も伴って 四人は連れ立って屋久島の深い原生林と それぞれの心の森に分け入って行きます。

え、誰が殺されるの?と思われそうな状況設定ですが、 大いなる森は誰も殺さず光り射す外界に彼らを返します。 連載一回ごとに屋久島のハイキングの描写あり、 「なんだったんだろ、あれ?」というような 身の回りの小さな不思議の楽しい謎解きあり、 互いの性格洞察もなかなかひねりが効いています。 しかも毎回語り手が変わるので それぞれが心の中に長年抱いていた謎が 友人達の会話の中で解決してゆく、 周りからは相変わらず謎のままなのだけれど 本人だけはショックを受けつつも大きな満足を得る。

大人の落ち着きと高校時代の情熱、 不思議な恋愛と大自然の美、 全部いっぺんに味わえる恩田ミステリ新作、 まだ連載が終ったばかりで纏めて読む事は出来ませんが、 いずれ単行本化されますのでお楽しみに。(ナルシア)


『黒と茶の幻想』 著者:恩田陸 / 出版社:講談社

>> 前の本蔵書一覧 (TOP Page)次の本 <<


ご感想をどうぞ。



Myエンピツ追加

管理者:お天気猫や
お天気猫や
夢図書[ブックトーク] メルマガ[Tea Rose Cafe] 季節[ハロウィーン] [クリスマス]

Copyright (C) otenkinekoya 1998-2006 All rights reserved.