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夢の図書館新館

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-- 2001年06月13日(水) --

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『六番目の小夜子』 (2)

☆転校生はいつだって、ミステリアス。

私は固め読みが好きなようで、 週末の連休、恩田陸ばかり読んでいた。 別に意図したわけではないが、 手に取った順に、 『ネバーランド』→『球形の季節』→『六番目の小夜子』 という順に読んだ。 結果として、新しいものから、古いものへと遡っている。

確かに、 「不思議」は無しで、 小説として一番繊細で、 少年たちの心の奥底を掘り下げた、 「醸造」された完成度の高いものは『ネバーランド』であろう。

『球形の季節』と『六番目の小夜子』は、 同じスタイルと、共通するエレメンツがちりばめられた 二卵性の双子の小説だと思う。 噂話や伝説など、都市のフォークロアが、 物語の重要なベースとなっている。

『球形の季節』は、こなれている。 超常的な要素があるけれど、 非常にストーリーの流れがいい。 それに比べると、 『六番目の小夜子』は、著者のデビュー作で、 現在の版が、大幅に加筆修正されたものであるとはいえ、 流れに強引なところもある。 そういうこなれの良くないところが逆に、 読む方にも張りつめたものをもたらす。 一作目というのは、 「巧さ」より、「勢い」があるところがいいし、 アイデアも、斬新で、 やはり、物語の核心部分にせまる、劇中劇ともいうべき、 学園祭での、劇の上演シーンが面白かった。 NHKの少年ドラマシリーズで ドラマ化されていたことも知っていたが、 見てみたいと思いつつも いつものように、「何となく」見過ごしていた。 『六番目の小夜子』は、構成や仕掛けがいい。

実は、私の好きな順番は、 『六番目の小夜子』、『球形の季節』、『ネバーランド』 という順番である。 『六番目の小夜子』は、不思議と日常のバランス。 謎とその答えのバランス。 それらが、私にとっては、ちょうどであった。 楽しんで読めた小説であった。(シィアル)


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『六番目の小夜子』 著者:恩田陸 / 出版社:新潮文庫

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