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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2000年11月14日(火) --

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『魔女の1ダース』

魔女にとっての1ダースは、12ではなく13なのだという。

魔女としてはまだまだ未熟者の私だが、 米原さんの文章を読んでいると、 身内に魔力がたくわえられて ゆくような錯覚をおぼえる。 この魔力を何に使おうかな、と思いつつ 次々とページをめくることに。 ここに書かれていることは、 まず、私という生活範囲では 想像することすらむずかしいことばかりだ。

対立しあっている2大国へ、時間をおいて訪ね、 その間の両国の変化を肌で感じる。 しかも政治的に重要な場面でのやりとりをも見聞きする。 そしてかつ、仕事までやってのける、 そのために呼ばれているとはいえ。 魔女でなければできない技である。

ロシア語通訳の第一人者としての顔はともかく、 魔女的洞察とシモネタに裏付けられた、実名も辞さない、 ほどよく錆びたナイフのごとき文章、 思わず声を出して笑わされる 落ちのもってゆきかたは、話芸の域。

しかも、こういってはなんだけれど、決して 読みやすい文章ではないと思う。 漢字も多いし、国際的にむずかしいことだって 勢いで書いてある。 ひとことでいえば、ハードボイルド。

なわけで、つい私もハードボイルドになってしまった。(マーズ)


『魔女の1ダース』 著者:米原万里 / 出版社:新潮文庫

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