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夢の図書館新館

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-- 2000年11月11日(土) --

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☆ アメリカ大統領選

− 現実と小説の中のアメリカ −

アメリカ大統領選が混迷を極めている。 今のところ、どちらが新世紀の大統領になるのか、 結果は出ていない。

これほどの接戦でも、 投票率は?というと、以外にも低調らしい。 その原因としては、インターネットや多チャンネルのケーブルテレビ などの普及で、選挙に関する情報が氾濫し、 有権者を混乱させていることや、 すでに選挙前から勝負が決している州での 棄権者による投票率の低下などがあげられるそうである。

前回の大統領選(民主党クリントン×共和党ドール)でも 投票率は49.1%過去最低であった。 前回もし、共和党からパウエルが出馬していたら、 もしかしたら、共和党政権になっていたかもしれない、 そういわれたりもしている。 しかし、パウエルは出馬せず、 初の黒人米大統領は誕生しなかった。 出馬しなかったのは健康上の問題と伝えられたが、 理由は必ずしもそうではないかもしれない。

以前(10/18)にもとりあげた「ステルス艦カニンガム出撃」の話になる。 「カニンガム」は、いろいろな面でバランスのいい本だと思う。 海洋軍事冒険恋愛小説。

小説の中の近未来のアメリカは民主主義が成熟し、 社会の中のさまざまな壁が無くなっている。 たとえば海軍では女性たちが大活躍している。 ヒロインのアマンダは戦艦の艦長で、 その部下であり親友のクリスは天才的な情報将校。 ここでは大統領も黒人で、 パウエルのように出馬を断念する必要もない。

しかし、アメリカはやはりアメリカだ。 成熟した民主主義はアメリカ国内の話で、 相変わらず、アメリカは世界の警察である。 第三世界は常に爆薬庫で、 アメリカはその鎮火に活躍している。

著者がアメリカ人であるのだから、 アメリカが世界のヒーローとして活躍するのは当然であるし、 ストーリーも面白いし、キャラクターも魅力的で、 「カニンガム」のシリーズは好きだ。 しかし、それでも、違和感は大きい。 女性や黒人の前にあった障壁は無くなっているのに、 アメリカは世界を統べる巨人のままだ。 その巨人をコントロールするのが、アメリカ大統領。 世界を動かす大統領だ。 その強大な権力ゆえに、三選が禁止されるのも当然であろう。

小説の中の話ではあるが、 民主主義がどんなに成熟しても、 アメリカの世界観には変化がない。 アメリカ万歳の映画(ex「インディペンデント・ディ」)も 小説も好きだ。 好きなんだけれど、 第三世界よりももっと危険なのは アメリカじゃないかと、 「カニンガム」シリーズを読み進めば進むほど、 「アメリカ=正義」が胡散臭くなったのも事実である。 「カニンガム」は全体的にバランスのいいシリーズであるが、 世界の中のアメリカの位置付けについては 唯一バランスがいいといえない。 その唯一が、致命的なアンバランスといえなくもない。 娯楽小説として読み流すには、面白い本であったが、 時間をおいて、冷静に振り返ると、 じわじわと評価の変化する、苦い後味の本だ。 (シィアル)


著者:ジェイムズ・H・コッブス / 文春文庫
・「ステルス艦カニンガム出撃」CHOOSERS OF THE SLAIN
・「ストームドラゴン作戦−ステルス艦カニンガム (2)」SEA STRIKE

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